明石市議に暴言を吐いた問題で、2023年春の任期満了をもって政治家を引退すると表明した兵庫県明石市の泉房穂市長(59)。

 暴言問題はこれで2度目だが、所得制限なしの子育て支援策に力を入れ、人口と税収を年々増やしてきた手腕への評価は高い。最初の暴言で辞職した後の出直し選挙で7割の得票率で再選したように、市民からの支持もある。

 3期12年に及ぶ市政について振り返り、全国的にも注目を集めている政策の数々や、今後の活動について語ってもらった。(全2回の1回目/続きを読む)

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「2つの責任を痛感」

 まずは明石市民の方々と、全国で応援していただいている方々を裏切ることになってしまい、本当に申し訳ない思いです。心よりお詫びいたします。

 今回の件では2つの責任を痛感しています。

 1つは暴言問題の責任、次に明石市民への責任です。前回の暴言では市長を辞職しているので、今回は政治家そのものから引退するしかないと考えました。辞職しただけでは、マスコミから「知事選や国政に出馬か?」と勘ぐられるままやし、全部打ち消しとかないと、私の真意が伝わりません。

 一方で市民に対する責任を果たすためには、ここで市長の仕事を投げ出すわけにはいきません。残りの半年間、しっかりと仕事をして、次の市長に市政を引き継ぐところまでは、責任を果たすべきだと判断をしました。

©文藝春秋

3つのやるべきこと、やりたいこと

 市長として私が始めた明石市の政策は、私がいなくなっても続けられる政策であり、そうなるように考えていました。たとえば中学校の給食費無償化は、小学校にも拡大できたと思いますが、あえてしなかった。私がいなくなった後の市長が続けるのは、財政的にもしんどいだろうと思ったからです。でも、就任時に70億円にまで減っていた貯金を121億円まで増やし、普通にやれば貯金ができる財政構造に変えたので、今やっている政策を維持することは十分に可能です。

 今後やるべきこと、やりたいことが3つあります。まずは、先ほど申し上げた通り明石市民への責任を果たすこと。2つ目は、明石で実現した政策はどこの自治体でもできることですから、全国を走り回ってそれを証明したい。3つ目は、国政です。養育費の立て替え制度や水上バイクの安全対策などは、本来なら国がやるべきこと。国がやることやらへんから明石市で始めただけ。明石でできたことを国レベルで実現させるために、様々な提案をしていこうと考えてます。