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「カビの生えた料理」「姉さんの食べ残し」「食中毒になった」

「私が置屋に在籍していたのは数年前のことですが、出された食事にカビが生えているなんてことは日常茶飯事でした。私たちがいただくのは、お母さんが2、3日前に作って家族で食べたご飯の残り物か、姉さんの食べ残し。数日前に作られた料理を食べて食中毒になったこともあります」

舞妓だった頃の桐貴さん。2015年12月、京都・南座での顔見世で(桐貴さん提供)

 調理を誰が担当するかは置屋によって異なるようだ。置屋の主人であるお母さんやその家族が担当するケースもあれば、調理専門の「まかないさん」を雇うケースもある。祇園町の元舞妓Bさんの置屋では、ご飯を作るのはまかないさんの役目だった。

「食べてんじゃねぇ!」殺伐とした食卓

「印象に残っているメニューは粕汁ですね。アルコールが強すぎて、宴会に行く前から酔っぱらってしまいました(笑)。でもそれ以外の食事はいたってまともでした。

 ただ、食卓の殺伐とした空気が辛かったです。5人ほど座れるダイニングテーブルで、仕事に出なければいけない舞妓から食べるのですが、そこで不機嫌なお母さんやお姉さんと鉢合わせたら最悪です。突然小突かれたり、『食べてんじゃねぇ!』『食べ方がなってない!』などと怒鳴られたりすることはよくありました」

 しかし、Bさんは「あたたかいご飯を食べられていた分、私の置屋は恵まれているのだと思います」とこうも語った。

2016年、鴨川をどりで同期の舞妓たちと(桐貴さん提供)

「同期の子たちと話したとき、旦那さん(舞妓のパトロンとなる男性)がお金を納めていないとご飯を出してもらえないとか、親にご飯代として毎月10万円を請求しておきながら、舞妓には290円の弁当を1日にひとつしか出さないという置屋もあると知って、愕然としました」

 桐貴さんも、「お姉さんに辛いラーメンにラー油やタバスコ、一味などを混ぜた特製ラーメンを食べさせられたこともありましたね(笑)。いけず(意地悪)だなと思いながらも、断ることはできないので『おおきに』と言って食べました」と語る。

 またBさんの置屋では食事の内容や、食べる場所に格差をつける習慣があったのだという。

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