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花街は“親ガチャ”ならぬ“置屋ガチャ”状態

 置屋ごとにあまりにも異なる舞妓の食事。花街にはお茶屋の組合などが存在するが、修業中の弱い立場である舞妓が声をあげることは難しい。本来、舞妓の健康を管理すべき大人たちは彼女たちの置かれた状況を見て見ぬふりし続けている。

 桐貴さんは、「子供が親を選べないことを表した“親ガチャ”という言葉がありますが、花街は“置屋ガチャ”状態なのです」と語る。

「舞妓のことを考えた食事を作ってくれている置屋があると信じたいですが、いざ入ってみないと実態が分からない。食事を作る方にもいろいろな事情や苦労があるのはわかりますが、最低限の健康は守られてほしい」

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お座敷遊びで女性客の胸に手を置く桐貴さん。男性客にも同様のことをしていたという(桐貴さん提供)

 元舞妓のAさんは、「『舞妓さんちのまかないさん』を読んで舞妓に憧れて入ってきた子は、現実とのあまりのギャップに絶望してしまうのでは」と危惧する。

「漫画はリアルな部分も多いだけに、“いけず”の要素を消して置屋での生活を美化していると感じてしまいます。作中に描かれる舞妓の生活はひとつの理想形。不都合なことを隠すのではなく、その理想形に近づける努力を大人たちはしていくべきなのではないでしょうか」

元舞妓らは「私なんてまだマシ」「いじめじゃない」

 今回複数の元舞妓への取材を通して驚いたのは、彼女たちが口を揃えて、「私なんてまだマシなほう」「お母さんもお姉さんもいじめているつもりはないんです」と、自身の経験を矮小化するような言葉を口にしたことだ。彼女たちにとってはそれが「日常」であり、当たり前のこととして受け入れてきたということなのだろう。

©文藝春秋

 こうした舞妓の食生活の実態を「おおきに財団」は把握しているのか。桐貴さんの証言や、他の元舞妓らが語る花街での体験について事実確認を行ったところ、「記載の証言については、情報不足により回答を控えます」との返答だった。

 桐貴さんが行った告発により、一部の街やお茶屋では未成年の飲酒を禁止するなど、これまでの慣習を見直す動きがあった。今回の告発を機に、「まかない問題」も議論し改善されることを願うばかりだ。

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