「おなかすいた」

「今日ご飯なに?」

 夕飯の匂いに誘われ台所へ集まる、髪を結いあげた少女たち。花街の夜に花を咲かせる舞妓も、その時ばかりは「普通の女の子」に戻る――。

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 監督、脚本を是枝裕和氏が務め、2023年1月からNetflixでドラマの配信が予定されている人気漫画『舞妓さんちのまかないさん』。10代で家を出て「置屋」で共同生活を送り、芸妓を目指して日夜修業と宴席での仕事に励む舞妓たちの日常を、おいしいご飯とあたたかな食卓風景を通して描いている。

 実際にある花街の風習や決まり事、実在する八百屋や豆腐屋が登場するなど、リアリティが追求されている点も人気の理由の一つだ。

 舞妓といえば今年6月、先斗町の元舞妓の桐貴清羽さんがTwitterでセクハラや未成年飲酒といった問題を告発し、物議を醸した。

舞妓だった頃の桐貴さん(桐貴さん提供)

 あれから6カ月。舞妓の募集や派遣も行う「おおきに財団」(「公益財団法人京都伝統伎芸振興財団」)は「女性自身」の「桐貴さんの告発は事実だったのか」という質問に対し、こう見解を発表した。

告発への“花街の見解”「そのような行為は一切なかった」

「元舞妓を名乗る『Kiyoha@物書き』さんが所属していたとされる花街からは、ツイートされた内容について、現在及び在籍していたとされる時期においても、そのような行為は一切なかったこと、掲載されている写真については事実確認が取れていないこと、の報告がありました」

お座敷遊びで女性客を背に乗せた桐貴さん。男性客にも同様のことをしていたという(桐貴さん提供)

 桐貴さんは「おおきに財団」の回答についてこう語る。

「こうした隠蔽体質こそが花街の問題であり、これまで誰も告発ができなかった原因です。私がお話したことはすべて事実ですし、他の証言者もいます。証言が事実であることは、花街の人たちが一番よく知っているはず。

 当時、私の訴えを無視し、嘘つき扱いした大人たちのことを、私は決して忘れません。花街の存続のために私の主張を認めないならそれでもかまいませんが、体制を改善する姿勢くらいは見せてもいいのではないでしょうか」

 こうした状況の中で配信が間近に迫る『舞妓さんちのまかないさん』。桐貴さんは“まかない”についてもこう振り返る。

「大好きな作品なのですが、私のいた置屋では漫画のように『あれが食べたい』なんて言える空気はありませんでした。ご飯が食べられるのは嬉しかったのですが、嫌な思い出の方が強く記憶に残っています」