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「兄弟ふたりの性癖は家庭環境の影響が大きい」パリ人肉事件・佐川一政の実弟が明かした“二の腕への性欲を伴う嗜虐願望”とは《有刺鉄線や蝋燭で柔らかい肌を…》

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『カニバの弟』より #3

2022/12/29

genre : ニュース, 社会

虫眼鏡もレンズを外せば“拘束アイテム”に

 二の腕拘束具のアイテムを徐々に取り揃えて、日夜自分の二の腕にはめる毎日が続いていた。ところで、学校などの事務で使用する“腕抜き(アームカバー)”はご存知だろうか。ワイシャツが汚れないように肘のあたりに被せる代物である。前後にゴムが入っており、ずれ落ちないようになっている。このゴムの締め付けが僕の目に留まった。

 夜寝る前にそのアームカバーを寝巻きの下の、二の腕までせり上げると、かなりの苦痛が襲ってくる。当然、苦痛だけではなく気持ち良さがたまらない。拘束感は半端ではない。でも、ときには血流が悪くなり、朝起きると締め付けた箇所から先の感覚が麻痺していたことや、ゴムがキツく食い込んで腕先がコブのように膨らんでしまったこともある。

  理科で使う虫眼鏡もレンズを外せば、その輪っかが二の腕拘束アイテムのひとつになる。レンズを入れているときも、太陽の光を二の腕の一点に集中させて皮膚を焦がすのに役立つ便利グッズだ。ジリジリと皮膚が焦げていくに連れ頭の中がツーンとなる。そして、それがエスカレートしていき、やがて蝋燭遊びをするようになるのであった。

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佐川家のアルバム ©東京キララ社

 また、顕微鏡を親に買ってもらったときは、父親が使っていた髭剃り用の刃で二の腕を傷つけて、血が出た部分にプレパラートを押し当て血液の成分を覗いたこともあった。「なんと馬鹿なやつだ」と言う声が聞こえてきそうだが、これは今の僕から見てもやはり馬鹿としか言いようがない。将来の化学者を彷彿とさせるシーンかと思いきや、まさか自分の皮膚を切りつけての血液採集だとは親も思わなかったであろう。

 この危ない遊びは僕にとって自虐行為の第一歩となった。そして親に隠れてのこうした“秘密の儀式”は、僕にとって性的な快感を追い求めるための原動力になっていった。しかし、振り返ってみると、この時期は単に脳が勘違いしたことで「苦痛」→「快感」という図式ができてしまったに過ぎなかった。なぜそうなったのかは未だに解決していない。科学的に、あるいは医学的に紐解けば分かるには違いないが。

 思春期を迎えると当然ではあるが、異性に対する興味を覚えるわけだが、僕の場合、すでに二の腕への性欲を伴う嗜虐願望への興味が優先していただけに、本来の健全な性欲の育成が甚だ難しくなっていた。

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