13年ぶりの女性コンビの決勝進出や、フレッシュな決勝進出者の面々、山田邦子の審査員就任などで大きな注目を集める2022年の「M-1グランプリ」(テレビ朝日系)。
お笑い業界が大きな変化の渦中にある中で、M-1はどう変化しているのか。そして、審査員として出演し、出演者への毒舌や独特の審査で賛否を呼んだ、上沼恵美子の真意とは何だったのか。
2022年12月4日に下北沢B&Bで行われた、女性芸人の立ち位置の変遷を、人気女性芸人らのインタビューを通して描いた『女芸人の壁』筆者・西澤千央さんと、コラムニストの能町みね子さんの対談の一部を抜粋・編集したものを掲載します。(前後編の後編/はじめから読む)
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M-1準決勝に女性コンビ2組が進出
西澤 今回、M-1で女性コンビが2組準決勝に上がりましたけど、今までの女性コンビだったら「女あるある」をやることが多かったと思うんですよ。アジアンもハリセンボンもそれで決勝まで行ってますし。
それは、これまでテレビや観客が「女あるある」を求めてたから応えていた部分があるんだと思うんですけど、今はそこから抜け出して、自分たちがおもしろいと思うことをやる女性コンビが評価される時代になったんだなって。
能町 そうですね。今まで容姿いじりや非モテネタをやっていたコンビも、ちょっとずつ軌道修正しているなと思います。具体的に言うと、紅しょうがやTEAM BANANA。二組とも比較的ベタな「女漫才」をやってた印象があるんですけど、そこから最近ちょっと外れてきた感じがする。
ニーズに合わせている部分もあると思うんです。それをやっちゃうとお客さんもちょっと引いちゃったり、ウッて引っかかるようになってきたので、そこを敏感に察知して。でも、それで準々決勝あたりにちゃんと進出するようになってきた。
西澤 私たち見る側の目からも、余計なフィルターが外れつつあるのかなとも思います。認めたくないけど、「この人たちは女性コンビだから」みたいな偏見がきっと誰にでもあって、私もこの取材をしながらそれを再確認することの連続だったんです。
取材を進めるうちに、なんで女の人はおもしろくないって思うんだろうとか、仮に「ドラフトコント2022」の演者が実力で25人選ばれた結果、女性芸人が1人しかキャスティングされなかったのだとして、その25人を決めてる人の目は本当にフラットなのか?とか、疑問を持つようになって。