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 あとは、芸人のお笑いへの思いを全面に出したりする、エモい演出が多くなっていると思うんですけど、上沼さん自身はお笑いを直球に語るのはおもしろくないと思っているんだと思うんです。手の内を見せるようなもの、お客さんにとっての演芸の価値を下げるものだと思っている。だからこそ、これまでほとんどお笑いについて語ってこなかったのだと思います。

「女芸人」という呼び方はなくなるのか?

ーーここからは、会場からの質問です。今後「女芸人」という言葉がどういうふうになっていくか、お二人に予想を聞きたいです。

西澤 「なにわの女天才漫才師」みたいに、「女」というのが入ると何となくおさまりがいいと多くの人が感じているうちは、きっと入れちゃうんでしょうね。でもどうなんですかね、自然になくなっていくんですかね。

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能町 たとえば、「女子アナ」って言葉って手垢がつきすぎて、最近少し敬遠されている感じはあると思うんですよ。その感じでいくと、もしかしたら女芸人も少し変わっていくのかもしれないとは思うんですけど。

 ただ、私は個人的に、「女芸人」という言い方には「女子アナ」ほどの嫌な感じを受けないので、言っちゃう時は全然言っちゃうんですけど。あえて文脈上、女であるということを言うという時にどうするかですよね。

西澤 「芸人」と言われて思い浮かんだ面々に、女性芸人が含まれているのかどうかってことな気もします。そこに自然に入ってくるようになると、文脈上「女」が重要な、THE Wのような場面以外では使われなくなるような気もしますね。そのぐらい女性芸人の数も増えているというか。

THE Wの今後の方針は

ーーTHE Wは今年審査員から女性が1人減り、大会サポーターも全員男性芸人でした。THE Wが、大会として従来の「女芸人らしさ」を推す大会を目指しているのか、あるいは他の大会のような姿を目指しているのかがいまいち見えないのですが、お二人の意見を伺いたいです。

能町 今、M-1、キングオブコント、R-1にTHE Wで4大大会のようになっていると思うんですけど、私はやっぱりTHE Wへの興味が一番薄いんですよ。おっしゃる通り、最初から方針に迷っているのが見え見えだったし、どこへ向かおうとしてるのか全然わからなくて。

 THE Wは、審査員がおそるおそるコメントするのもどうなんだろうと思っていて。あちらこよかった、こちらもよかったってコメントばかりで、褒めなきゃいけない縛りでもあるのかなと思うくらい。M-1は、それこそ上沼恵美子さんがそうですけど、厳しいことを言う人もいるじゃないですか。

西澤 点数をつけない勝ち抜き方式というのも、そういう姿勢のあらわれなのかなという気がしますね。