――心残りを1つ解決して、1つは残した状態で関東で1人暮らしを始めたのですね。
セレスティア 姉が亡くなってから家の中はずっと暗い雰囲気で、私まで家を離れるのが親に申し訳ない気持ちもあったのですが、ずっと秘密にしていたことを母に話せた自体は良かったなと思っています。その時はまだゲイだというだけで、自分でもまさかドラァグクイーンになるとは思ってもみなかったんですけどね。
――お母さまはセレスティアさんのドラァグクイーンの活動もご存じなんですよね。
セレスティア すごく応援してくれています。SNSも楽しみにしてくれていて、投稿の間隔が空くと「次の更新はいつ?」と聞いてくるくらい。スマホの待ち受けも女装姿の私です。父親にそれを見せたこともあるらしいんですが、気づかなかったみたいです(笑)。
――意外と気づかないものなんですね。
セレスティア 「いや、息子やで。ずっと見てきた顔やろ」とは思いましたが(笑)。最近はメディアに出させていただくことも多いので、どこかで気づくだろうなという気持ちと、いっそ早く気づいてほしい気持ちと、気づかれるのが怖い気持ちが自分の中に同居しています。父に隠し事をしたくないのは本心ですが、カミングアウトが必ずしも正解じゃないとも思っているんです。
「女装してこんな活動をしているんだ」と胸を張って言える活躍を
――どういうことでしょう?
セレスティア 大学時代にお付き合いした女性がそうだったように、秘密を共有されることを「重い」と感じる人もいるし、知らない方がいいことも世の中にはあると思うんですよね。せっかく母が応援してくれているのに、父との関係が崩れて実家に帰りにくくなってしまったら寂しいですし。
――今は様子を見ながら、と。
セレスティア そうですね。でもいつかカミングアウトするか父が気づくかした時に、「女装してこんな活動をしているんだ」と胸を張って言えるくらい活躍していれば、父も「恥ずかしい」じゃなくて誇らしいと感じてくれるかもしれない。LGBTの割合は約1割というデータもありますし。
――左利きの人と同じくらいの割合だと言いますよね。
セレスティア そうなんです。実は珍しいことじゃないんだよって。女装文化やドラァグクイーンを「理解してもらう」ことは難しいかもしれないけれど、私たちに注目が集まることで父のような考えを持っていた人にも認知されて、当たり前に受け入れられたらいいなと思っています。