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 水木さんはなんで小諸を、地方のラスト・ステージに選んだのだろう? と思ったら、水木さんはもう40年以上、小諸の市民まつり・ドカンショのテーマ「こもろドカンショ」を歌い続けており、定期的に小諸の様々なイベントに参加されていたそう。

 今夏、3年ぶりに開催される第50回こもろ市民まつりに出演する予定が、またしてもコロナ禍で中止に……水木さんは楽しみにしていた小諸の人たちのためにここを地方のラスト・ステージに選んだのだった。

 律儀な水木さんらしい……そう思っていた矢先、小泉俊博・現・小諸市長がサプライズで登場。車椅子の水木さんに長年の小諸市への貢献に対する表彰状を授与され、我々観客は涙を必死にこらえて笑顔で拍手した。

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水木さん、最後にアニキと呼ばせてください。

 水木さんの訃報を耳にしたとき、その日が来てしまったことを思い知らされつつ、亡き母のことを思い出していた。

 自分が大学生の頃、石原裕次郎ファンだった母が裕次郎さんの訃報を聞いて涙していた。好きな歌手・俳優が亡くなったからといって、個人的なお付き合いがあったわけでもなし、そこまで感情移入せんでも……と思ったものだ。

 だが、今は理解できる。裕次郎さんは単にファンで、好きな歌手・俳優ではなく、母の青春そのものであり、もうひとつの魂だったのだ。そんな裕次郎さんが歌う歌も魂の歌、ソウルミュージックだった。

 今、自分のソウルミュージックは間違いなくアニキの歌だと確信できる。人のいのちは つきるとも 不滅のソング アニキのゼーーーット!!――水木さん、最後にアニキと呼ばせてください。自分も命尽きるまでアニキを語り継ぎ、アニキの歌を聞き続け、歌い続けさせていただきます。