やがて衝動を抑えられなくなったスティーブンは、ビデオカメラでスーザンを追跡するようになった。外出先でも家の中でもその姿をつぶさに記録し、彼女がトイレに入れば小さな鏡を使って覗き込み、洗濯物から下着を盗み出し、さらには生理用品に至るまで、あらゆるものをコレクションした。
また、素性を隠したうえで、インターネット上にスーザンへのラブソングを投稿したり、スーザンにマッサージをした時の感情を細かく再現しながら、自分の服を脱いでいくビデオを撮影するなど、その“想い”は常軌を逸した形で体現されていく。
夫婦が結婚して2年が経った頃、スティーブンはついにスーザンのもとを訪ね、その想いを告白し、交際を迫った。もちろんスーザンはこれを拒否。すぐにそれを夫に報告し、夫婦は別の州へ引っ越すことになる。
スーザンからすれば気味の悪いことこのうえなかったはずだが、ジョッシュはやがて、父親の異常な感情を「致し方ない」と許容。スーザンもやむなく、義父を警戒しながら家族の幸せを築いていった。
募る夫への不信感
そして結婚から4年後に長男チャーリーが生まれ、さらに2年後には次男ブレイデンが誕生。
ところが、スーザンが育児に奮闘する一方で、ジョッシュの行動に変化が現れ始める。敬虔なモルモン教徒だったはずの彼だが、教会で行なわれる週末の礼拝に、まったく顔を出さなくなってしまったのだ。
欠席理由を尋ねても、要領を得ない答えに終止する夫の姿に、スーザンは少しずつ不信感を強めていった。
実際、後にジョッシュがこの頃、出会い系サイトで知り合った複数の女性たちと不貞を重ねていたことが明らかになるのだが、スーザンはそれを敏感に察していたのだろう。
さらには義父からの執拗なアプローチを訴えても、注意すらしようとしない夫に対し、スーザンはついに最後通告を突きつけることになる。
「このまま教会に顔を出さないつもりなら、離婚します。そして教会に、誰か新しい人を紹介してもらうわ」
しかし、こうした覚悟の訴えも、ジョッシュに聞き入れられることはなかった。