なぜ小栗旬の周りには俳優たちが集まるのか
「俳優たちが小栗旬の周りに集まるのは、役者として尊敬しているのは当然のこととして、男としての器の大きさや、人間的な魅力に惹かれてるからだと思います」とかつて鈴木亮平が対談で語った通り、多くの名作で共演した名優たちと小栗旬の交友は「小栗会」という芸能マスコミのジャーゴンには収まらない、深い信頼関係として地下水脈のように広がっている。
「これは期待を込めて言うけれど、鈴木亮平みたいに骨っぽいタイプの俳優さんって、今までいなかったと思うんです。日本はちょっとフェミニンで優しい顔をした人が人気者になる国なので、そこのど真ん中に亮平が立つのはとても大変だと思うんだけど、実現したら、日本の映画やドラマは絶対に面白くなるはずなんです」という2014年の対談での小栗旬の言葉は、まるで予言のように2022年の現状を言い当てている。
『エルピス』が末端のテレビマンたちの反旗の物語であるように、『鎌倉殿』もまた、権力闘争に取り憑かれた武士たちの破滅の物語であると同時に、日本の歴史において決定的な変化と言われる、武士たちが朝廷に反旗を翻す承久の乱に到る物語である。
所属事務所トライストーンの社長がいつか小栗旬に禅譲するという噂もある。そうなれば彼は1人の俳優としての「武芸」だけではなく、人を集め人を動かす、改革者としての政治能力を日本の俳優たちのために求められるようになるだろう。
小栗旬と鈴木亮平。8年前に芸能界の改革を語り合った2人の俳優は今、2022年末のテレビドラマで、まるで約束の場所で待ち合わせたように、NHKと民放の話題作に出演している。『エルピス』と『鎌倉殿の十三人』、年末に二つの物語の結末を見届けるとともに、2人の俳優が来年から開く新しい景色にも注目したい。