2018年11月、「KAWASAKI祭り」と銘打ったイベントを開催していた兵庫県西宮市の「ライダーズカフェ インザシー」。

 大盛況となって忙しく立ち回る店主に、ひとりの女性客が手伝いを申し出る。彼女が「一瞬で全体を把握して、あっという間に注文をさばいていく」様子を見た店主が「お店されてるんですか?」と尋ねると、「ただのOLよ」と笑って去っていった。後に店主は、その女性客がカワサキモータースジャパンの代表取締役社長になった桐野英子氏だったことを知る……。

 2022年10月にTwitterで「#接客業であったすごい客」のハッシュタグであげられ、バズりにバズったエピソード。その“すごい客”こと桐野英子氏に、カフェを手伝った経緯や当日の様子などについて、話を聞いた。

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カワサキモータースジャパンの桐野英子社長

5.5万以上の「いいね」がついたツイート

――「ライダーズカフェ インザシー」でのお手伝いは、2018年の出来事になります。4年前のことが話題になって、周囲はどのような反応を?

桐野 まず私はTwitterをやってないし、見ないんですよ。なので話題になっていることをまったく知りようがなかったので「エーッ、なにをいまごろ!?」と驚くばかりで。

 教えてくれたのは、私が住んでいる場所の近くにある販売店で2015年モデルのNinja H2を買ってくださった方なんです。販売店を通じて存じ上げていた方なのですが、メッセンジャーで「ご存じかと思いますけれども……」とTwitterのリンクを送ってくれて。で、開いたら「エーッ!」と。

 その方も、あの4年前にNinja H2に乗ってカフェに来られているんです。

――秘書の方が会議中に現れて、社長の耳元で「社長、このようなツイートがバズっておるようです」と報告するみたいなシチュエーションではなく……。

桐野 そうじゃないんです。カワサキのユーザーさんから教えていただきました。順番的には、その方からメッセンジャーで教えてもらって、翌日にインザシーの店主をされているMaiさんから「Twitterにあげたら大変なことになっちゃってすみません」「もう遅いかもしれませんけれども、不都合があるようでしたら削除します」と連絡をいただきまして。

 それでうちのPR担当と相談して「とくに支障はございません。Maiさんが自発的にあげられたものに対して意見する立場でもありませんのでかまいません」とお返事しました。

5.5万以上の「いいね」がついたMaiさんのツイート

――こういうことを言ってしまうとアレですが、ものすごいPRになりますよね。

桐野 結果的にはそうなんですけど、後から「私がMaiさんにお願いして、Twitterにあげてもらったなんて思われたらイヤだな~」とちょっと思いましたけどね(笑)。

――企業のネタがバズるのは不祥事を起こしたとき、といったイメージもありますしね。

桐野 そうなんですよ。だから、悪いことじゃなくてよかったって(笑)。