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じつは忍者の町だった“300万人が押し寄せる神社の最寄り駅”「原宿」には何がある?

2023/01/02

genre : ライフ, , 歴史, 社会

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 初詣のシーズンである。つい1週間前にはメリークリスマスと言いながら、年が明ければ神社を詣でる。これが日本のよいところだ。

 そして、その初詣でいちばん参拝客を集めるのが、明治神宮だ。なんと、例年300万人を超える人たちが初詣にやってくるのだという。ここ数年はコロナ禍の影響もあろうが、日本一であることに変わりはないだろう。

 明治天皇を祀っている明治神宮は、1920年に創建された比較的新しいお社だ。初詣という文化が定着したのも明治になってから。そういう意味では、明治神宮への初詣は近代以降の日本を象徴するようなものなのかもしれない。

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例年300万人が押し寄せる場所の最寄り駅「原宿」には何がある?

じつは忍者の町だった“300万人が押し寄せる神社の最寄り駅”には何がある?

 と、それはともかく、明治神宮の最寄り駅はご存知のとおり原宿駅だ。原宿駅は、2020年に新駅舎に生まれ変わった。かつて、この地域一帯のシンボルになっていた西洋風のロッジのような旧駅舎は、いつのまにか取り壊されてすっかり姿が見えなくなっている。

 デビューしてからまもなく3年経つが、まだまだ真新しさを湛えている原宿駅の新駅舎、その2階にある改札口を抜ける。

2020年に新駅舎に生まれ変わった「原宿」。かつてはというと…

 改札口が1階にあった以前の駅舎からすれば、まったく比較にならないくらいに広々とした新駅舎のコンコース。きっぷ売り場などを回り込むように歩けばそのまま明治神宮方面へ、改札口の正面の階段を降りると表参道方面へ通じている。ごく普通の平日に訪れれば、人の流れは圧倒的に表参道方面が優勢だ。

 原宿駅は、コロナ禍前には1日に7万人を超える乗車人員があったという。さらに東京オリンピックも控えていて、代々木体育館も会場に予定されていた。

大正時代に建てられ、三角屋根に風見鶏の尖塔が付いた欧風のデザインが印象的だった旧原宿駅舎。東京都内でも有数の歴史的な建築物だった(撮影は2015年) ©iStock.com
かつての原宿駅(1971年)。明治神宮のイメージが先行するせいか、心なしか緑が多い気がする駅だ ©iStock.com

 以前の駅舎を思い出してもらえればわかるとおり、あまりに手狭だ。それじゃあマズイ、ということで新駅舎が建てられた。結果的にコロナがやってきてオリンピックも延期の上に無観客、原宿駅のお客の数も以前の水準には戻っておらず、いまのところは広々とした新駅舎も本領を発揮するには至っていない。

2019年、隣り合っている完成間近の現駅舎と旧駅舎。いかに以前の駅舎がコンパクトだったかわかる

 まあ、このあたりはもともとの駅舎が狭すぎた、ということなのだから広くてのびのび使えるのは悪くない。スムーズに人が流れて表参道方面へ消えてゆく。1924年以来の旧駅舎が失われてしまったのは残念だが、日常的に原宿駅を使っている人は、だいたいがいまの駅舎に満足しているに違いない。

 初詣でいちばんの参拝客を集める明治神宮最寄り駅、ということで原宿駅にやってきた。なのだから、まずは明治神宮方面に向かうのが正しい歩き方だろう。