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じつは忍者の町だった“300万人が押し寄せる神社の最寄り駅”「原宿」には何がある?

2023/01/02

genre : ライフ, , 歴史, 社会

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普段はそれほどの人の数ではない神宮直結の出入り口

 そういうわけで、明治神宮側に出る。初詣の時期でもなければこちら側に来るお客の数はそれほどでもない。だからなのか、明治神宮側の出入り口はごく小さなものだ。

 それを出ると、すぐ目の前に明治神宮の大鳥居が待ち受ける。事実上、神宮に直結している出入り口といっていい。

 むろん、表参道側からも明治神宮に入ることはできる。駅舎のすぐ脇の神宮橋を渡ればいいだけのことだ。というより、表参道というのは明治神宮の参道なのだから、当たり前のことだ。駅舎の脇の神宮橋の上には、何かのツアーで神宮を参拝したのだろう一団もあった。

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 ただ、表参道は原宿駅前で神宮橋方面ともうひとつ、代々木体育館方面の二股に分かれている。代々木体育館方面に向かう陸橋は、五輪橋。1964年の東京オリンピックにあわせて代々木体育館や選手村(現在は代々木公園)などが整備され、それと同時に設けられたのがこの五輪橋。普段は人通りは少ないが、代々木体育館やその向こうにあるNHKホールでイベントがあるときには、たくさんの人で賑わう一角だ。

 などと、原宿駅前のほんの少しの一角だけで、明治神宮の最寄り駅、という原宿駅の個性を捉えることはできてしまう。原宿駅のお客が1年でいちばん多くなるのはもちろん初詣シーズン。ただ、そうでなくてもお客で溢れているのが東京の駅だ。そのほとんどのお目当ては、表参道方面、つまりは流行の最先端の街としての原宿である。そちらの方にも足を向けてみよう。

見上げると日本初の“億ション”にブランドショップ。でもなぜこんなにややこしい路地ばかりが…

 原宿駅前から東に向かって、目抜き通りのごとく伸びているのが表参道だ。原宿駅のはす向かい、線路沿いにはかつて堤義明が率いたコクドの本社があった。いまはヨドバシJ6ビルという、複合ビルに生まれ変わっている。

 そのお隣、コープオリンピアはいかにも古い見た目のマンションだ。1965年に1億円で分譲されたという、日本初の“億ション”なのだという。

 

 そんなところにも現代日本の激動ぶりが偲べる表参道。並木道になっている3車線道路を歩いてゆけば、まあとにかくおなじみのザ・東京の風景が続く。ほどなく見えてくる神宮前の交差点は、表参道と明治通りが交わるこの一帯の“ヘソ”ともいえる中心地である。