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「50で出産なんて、子どもがかわいそう」という声も…超高齢出産した女性(55)が感じた「高齢育児のメリット」とは

「50で出産なんて、子どもがかわいそう」という声も…超高齢出産した女性(55)が感じた「高齢育児のメリット」とは

50歳で初産・沢えりかさんインタビュー #2

2023/01/20
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――そうなると、無痛分娩の麻酔が切れた後は……。

 その後はすごく痛かったですね。縫った後しばらくは本当にキツくて。1年経ってもクリームを処方してもらって対処していたほどで、性欲も完全になくなりました。

――待望の赤ちゃんと対面したときはどんな気持ちになりましたか。

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沢 出産して自分の手ではじめて子どもを抱いたとき、不思議と涙は出なかったんです。それよりも、「ああ、これで本当に頑張らなくては」という責任感を強く感じました。

1歳の誕生日を迎えたときの息子さん(沢さん提供)

――ニューヨークで一番成功率の高い不妊治療専門クリニックに通院していたということでしたが、治療費の総額はどれくらいかかりましたか。

 体外受精は100万円でしたが、その前の血液検査などで病院に行く度に10万くらいかかったので、最終的には300万ぐらいかかったのかな。

 私は全財産を持って渡米して、すべてをアメリカでの不妊治療に注ぎ込むつもりでした。若かったら貯蓄もなかったでしょうから、難しかったと思います。

「ご自身で出産したことを証明してください」

――年齢を経たゆえのアドバンテージもあるわけですね。

 ただ、高齢出産をしてみて驚いたのは、出生届を出しに行った日本領事館で、「ご自身で出産したことを証明してください」と言われたことです。

――高齢出産だと、子どもの名前を戸籍に載せるのに証明がいる、ということですか?

 2014年までは日本でも50歳以上で出産した人は審査が必要だったそうですが、不妊治療の発達で高齢出産が増えたことで、国内の病院で出産した場合には50代以上でも審査なしでOKという規定に変わったらしく。

 でも、海外での出産の場合、50歳以上だとまだ審査が要る、ということだったんです。

――ショックですね。しかも、そんな大切なことを産んだ後に言われても……。