文春オンライン

九州新幹線“観覧車があるナゾの終着駅”「鹿児島中央」には何がある?

南の南へ#1

2023/01/16

genre : ライフ, , 歴史, 社会

note

 人はなぜか観覧車が好きだ。観覧車は高い上にふらふらと安定感がないから、個人的には苦手だが、多くの人は観覧車を好むようだ。昨年、お台場の観覧車が取り壊されるというニュースが大きな話題になったくらいだ。よくよく街を見渡してみると、結構いろいろなところに観覧車はある。遊園地でなくても、お台場のようなレジャースポットにはお決まりのように観覧車がある。

 ところが、そんな観覧車が駅にある、となるとちょっと珍しい。駅のすぐ近くならいくらでもあるが、駅ビルそのものが観覧車というのは、なかなかないのではないか。

 すぐに思い浮かぶところでは、東急蒲田駅の屋上観覧車(だいぶ小さいですけどね)、伊予鉄道松山市駅の「大観覧車くるりん」。あとはそう、鹿児島中央駅の駅ビル、アミュプラザの観覧車である。

ADVERTISEMENT

九州新幹線“観覧車があるナゾの終着駅”「鹿児島中央」には何がある?

九州新幹線“観覧車があるナゾの終着駅”「鹿児島中央」には何がある?

 鹿児島中央駅は、言わずもがなの九州新幹線の終着駅だ。博多駅から最速達の「みずほ」に乗れば、1時間15分程度で鹿児島中央駅に着いてしまう。せっかくの新幹線がもったいないくらいの超特急。

今回の路線図。「鹿児島中央」は言わずと知れた九州新幹線の終着駅だが、じつは“観覧車があるちょっと珍しい駅”でもある

 そしてその新幹線は、西側からなぜか観覧車がシンボルになっている鹿児島中央駅の駅ビルに突っ込んでゆく。新幹線だから高架で、地上を走る在来線の鹿児島本線のホーム。新幹線のホームは、ちょうど跨ぐように設けられている。

 鹿児島中央駅の構造を上から見ると、南北に在来線、東西に新幹線という、「T」の字を時計回りに90°ひっくり返したような形をしている。新幹線はもちろんどん突きで、東側に駅ビルが建つ。新幹線のホームと並行に(つまり在来線のホームを跨いで)改札と自由通路などのコンコース。改札口の目の前に大きな土産店があるあたりは、旅行者にとっては実にありがたい。

改札口を出て歩いて行くと早速観覧車が…

 改札口を出て正面に土産店を見て、右手に歩いて行くとそのまま駅ビルのアミュプラザに直結する。2004年、九州新幹線新八代~鹿児島中央間が開業したのにあわせて誕生した、当時鹿児島県内最大規模の商業ビルだった。

 

 どことなく鹿児島の街へのゲートのような階段を降りて地上に出ると、アミュプラザの1階部分は広場になっていて、なにやらイベントが行われたり、夜になるとイルミネーションが煌めいたり、街の中心という雰囲気を存分に放つ。

 観覧車はもちろんシンボルだが、ほかに映画館が入っていたり、プレミアム館という新館が並んで立っていたり、まあとにかく鹿児島中央という駅が鹿児島の玄関であるという、そんな誇りに満ちた駅ビルといっていい。