甲突川は鹿児島の市街地をくねくねと流れて鹿児島湾に注ぐ川だ。ナポリ通りから左に折れて甲突川を渡ってみると、左岸側は緑地として整備されていて「歴史ロード 維新ふるさとの道」とある。
鹿児島は、つまり薩摩藩の城下町は維新の志士を多数輩出した街だ。西郷どんや大久保利通も、鹿児島城下で生まれた。生家跡地も明確に残っている(もちろん建物はないですけどね)。「ふるさとの道」というのはそうした歴史的な散策をするのにうってつけ、ということなのだろう。
大久保利通の像を横目に歩くと…
さらに川沿いを少し北に歩くと、高見橋という橋のたもとにたどり着き、そこには巨大な大久保利通の像が建っていた。ちょうど鹿児島市電が走っている道で、つまり市電は大久保利通に見守られながら走っている、というわけだ。
ここからは鹿児島市電に沿って東に歩こう。市電が南方面に分岐する交差点は高見馬場、そこからホテルやらの大きなビルが建ち並ぶ道沿いをゆけば、「天文館」が待っている。
天文館という名だけを聞けば、なにやらプラネタリウムかなにかがあるんですか、ソラマチですか、五島プラネタリウムですか、などと言いたくなってしまう。駅に観覧車があるのだから、中心繁華街にプラネタリウムがあっても何の不思議もなさそうだ。
ですが、もちろん違います。天文館は、鹿児島市(どころか鹿児島県)最大の繁華街だ。アーケード街を中心に一般的な商業施設が建ち並び、さらに少し裏に入れば歓楽街で夜の街。
はっきりとした「天文館」という地名は存在せず、この一帯をまとめてふわっと天文館と呼ぶらしい。まあとにかく、鹿児島の街で遊ぼうと思ったら、天文館に行くのが筋なのだろう。
鹿児島中央駅前とともに、ホテルが多数建っているのも天文館一帯だ。次の日の出発が早朝ならば駅前で、夜の鹿児島も楽しみたいなら天文館で宿を取るのがいい選択というわけだ。
ちなみに、気になる名前の由来は、蘭癖大名の異名を取った八代藩主・島津重豪が天体観測や暦の研究施設を設けたことだとか。
“桜島が正面に見える港街”としての鹿児島
鹿児島中央駅と天文館、ナポリ通り経由で甲突川沿いをうろうろしたりと迂回したせいで1時間近く歩いてしまったが、まっすぐ行けば20分程度だろうか。市電が駅前から通っているので、そちらならば10分とかからない。
天文館の電車通りは、「いづろ通り」という。いづろとは、石燈籠。市電が左に折れるいづろ交差点には、その名の通り石燈籠が建っている。