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国道沿いの商店はほとんどが店を閉じていて、半ば廃墟のようになっている一角もあった。中には営業している店もあるが、満足するほどお客が来ているような様子はない。
しばらく国道沿いを歩いてゆくと、遠矢百貨店という比較的大きなビルが見えてきた。いまも営業しているが、一般的な“百貨店”のイメージとはやや違う、何でも売っている雑居ビルのようなものだ。
いくら鹿屋が大隅半島の中核を担う10万都市といっても、鉄道がない。鉄道がない街では、街の人々は日々の暮らしの足をどうするか。もちろん答えはひとつ、マイカーである。
マイカーが変えた人の動き…中心市街地に何があったのか
ひとり1台のクルマ社会になった地方都市では、おしなべて中心市街地が空洞化。クルマでのアクセスに便利なロードサイド店舗や郊外の大型商業施設が栄えることになる。鹿屋の場合も、例に漏れずというわけだ(といっても、大隅半島最大の売り場面積を誇ったプラッセだいわ鹿屋店は昨年秋に閉店してしまった)。
中心市街地の空洞化という現象は、鹿屋の街歩きのスタート地点になった北田町交差点でも起きていた。というのも、かつて北田町交差点の角には桜デパートという百貨店があったのだ。
桜デパートは大隅半島で唯一の百貨店で、リナシティの真向かいにあった本店店舗は地上7階建て、デパ地下まで設えた立派なものだったという。1945年に創業し、1960年に鹿屋本店がオープン。以来、鹿屋の人々は何かがあれば桜デパートに、と買物に来たという。
が、マイカー利用に便利なロードサイド店舗が増えてゆくにつれ、中心市街地の古いデパートはいささか時代にそぐわなくなっていく。