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渡辺 その言葉を誰が言うかで、おもしろくないこともおもしろくなっちゃうんです。

――ただ、実際は、どうなのでしょう。長谷川さんの中で、間であったり、言い方を、実は工夫されていたりするのでしょうか。

長谷川 いや、自分でもなんでウケるんだろう、って。「部活は何やってたの?」って聞かれて、「バドミントン部」っていっただけで笑いが起きたり。

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――最強ですね。

渡辺 最強です。

撮影 山元茂樹/文藝春秋

M-1史上最年長王者になってよぎった“思い”

――錦鯉は2020年、初めてM-1決勝の舞台に立ち4位と好成績を収めました。そして2021年、2年連続でファイナリストとなり、誰もが憧れるM-1王者の称号を史上最年長で獲得しました。かつて雲の上の存在だった人たちと肩を並べたことになるわけですが、実際、そのときはどのような思いが過ぎりましたか。

渡辺 優勝した後、1年間は正直ずっと実感がなかったんです。でも、去年のM-1決勝で優勝トロフィーを返還することになって。あのトロフィーを改めて持ったとき、俺ら優勝したんだ、って実感しました。

――すごく重いそうですね。

渡辺 子供ぐらいの重さがあるんじゃないですか。

――3キロぐらい。

渡辺 いや、もっとあると思う。

長谷川 何でできているんだろ。全部、金ではないよね。

撮影 山元茂樹/文藝春秋

M-1トロフィーってどこに保管されていたんですか?

――あれは家には持ち帰ることはできないんですよね。

渡辺 局の方で厳重に保管されているみたいです。だから、持つのも1年ぶりで。そうしたら、裏に歴代王者の名前が刻印されているんですけど、そこに自分たちの名前もあって。

――なるほど。それを見て、さらに実感が。

渡辺 それもありますね。でも、まだちゃんと優勝を実感できていないところもあります。サンド(ウィッチマン)さんに一度、聞いたことがあるんです。そうしたら、2人は実感できるまでに4、5年かかった、って。

――サンドウィッチマンは敗者復活戦からの逆転優勝だっただけに余計に、ですよね。そこが、まさにM-1ドリームたるゆえんなんでしょうね。

渡辺 世界が急激に変わり過ぎて、それに慣れるのに4、5年かかったと。そんなものなのかなと思いました。僕もまだ驚いているというか、戸惑っているようなところがあります。よく優勝できたな、って。

笑い神 M-1、その純情と狂気

中村 計

文藝春秋

2022年11月28日 発売

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。