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 またこの通報により、先発隊の3人がまだ小屋に着いていないことも判明した。要請を受け、警備隊員と山荘のスタッフがただちに現場へと向かい、涸沢岳とオダマキのコルあたりで救助活動を行った。

オーナーは警察に通報 自ら現地へ向かったが…

 ところが、そのさなかに、さらに2人が低体温症で倒れてしまった。このため山荘から新たに応援スタッフらが現場に投入され、猛吹雪のなか、壮絶な救助活動が展開された。遭難パーティの全メンバーを山荘に搬送し終えたのは午後11時ごろで、山荘のスタッフが総出で応急処置に当たった。残念ながら、3人の行動不能者のうちひとりは助からなかったが、ほかの2人は朝方までに回復した。

 この日にはさらにもう一件、爺ヶ岳でも遭難事故が起きている。爺ヶ岳や鹿島槍ヶ岳の登山拠点となる種池山荘のオーナーの自宅に、単独の女性登山者(62歳)から電話がかかってきたのは、4日夕刻のことだった。相手は「吹雪でなにも見えない」と告げたあと、すぐに電話は切れてしまったが、その後も電話がかかってきて、以降、つながっては切れるというやり取りを何度も繰り返した。女性はこの日の朝から登山を開始したとのことだったが、オーナーがいくら現在地を尋ねても曖昧な答えしか返ってこず、「もう諦めて下山します」と告げたあとは、バッテリー切れとなって電話は不通になってしまった。

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 彼女は救助要請をしたかったわけではなく、オーナーの「大丈夫か」という問いにも「はい、大丈夫です」と答えたという。ただ、話の様子からルートを把握しておらず、山にも慣れていない印象を受けたため、オーナーは警察に一報を入れたのち、自ら現地へ向かい、ジャンクション(尾根の合流地点)ピークの上まで登って捜索を行った。しかし、目も開けていられないほどの猛吹雪のため、諦めて午後11時過ぎに下山した。

 翌5日朝、女性は爺ヶ岳に登った登山者によって発見された。場所は爺ヶ岳の中央峰と北峰の鞍部付近で、すでにこと切れていた。死因は低体温症とみられている。 

写真はイメージです ©AFLO

天候に左右されるGWの事故形態

 続く2013年のGWは、全国の山で遭難事故が相次ぎ、発生件数141件、遭難者数185人と、ともにそれまでの過去最多を更新した。とくにこの年が異例だったのは、連休前から北アルプスでは雪が降り続き、涸沢と白馬大雪渓で入山に対する自粛要請が出されていたことだ。北アルプス南部で雪となったのは4月26日からで、翌日も雪が降り続いていたため、涸沢では雪崩の危険が高くなっているものと判断し、アルプス南部地区遭難対策協会の救助隊長を務める涸沢ヒュッテの山口孝社長が自粛要請を決定した。