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 実は、2年前のGW直前にも涸沢では雪崩が発生しており、涸沢ヒュッテの支配人が巻き込まれて重傷を負い、売店が全壊するという被害が出ていた。このときの教訓を活かしての判断であった。

 なお、涸沢の自粛要請は、ひとまず雪崩のリスクが低くなったことから、翌28日午前中に解除されている。

パーティは「判断ミスだった」とマスコミにコメント

 一方、やはり26日からの降雪によって大雪渓での雪崩の危険が高まっていた白馬では、地元の大町警察署の判断によって、27日の早朝から入山に対する自粛要請が指導された。しかし、この日の午前10時35分ごろ、大雪渓で雪崩が発生し、2パーティが巻き込まれてしまった。そのうち50代の男女6人パーティでは4人が巻き込まれ、3人は仲間に救出されたものの、女性ひとりが行方不明となった。女性は翌日、雪に埋もれた状態で発見され、病院で死亡が確認された。死因は窒息死だった。

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 このパーティは、自粛要請について「直接は聞いていないが、知っていた。ただ、天候回復が望めると思って入山した。判断ミスだった」とマスコミにコメントしている。

 もうひとつのパーティは、山口県の宇部山岳会の2人(32歳と50歳の男性)で、自粛要請が出される前日に入山していた。2人の捜索は難航したが、5月6日と19日にそれぞれ遺体となって発見された。死因はいずれも窒息死だった。ちなみに白馬の自粛要請は解除されず、GW期間中はずっと続けられた。

全国的に転滑落事故が多発

 このような自粛要請は、涸沢では2年前に次いで2度目、白馬では初めてだった。次に2014年のGWをみてみると、転滑落事故の発生が目につく。それも、奥穂高岳や北穂高岳、涸沢岳、白馬岳、立山、剱岳などの北アルプスエリアだけにかぎらず、岐阜の川上岳、丹沢の大山、群馬の荒船山で死亡事故が起きているほか、富山県の黒菱山、福岡県の犬ヶ岳、静岡県の黒法師岳、奥秩父の甲武信(こぶし)ヶ岳などでも負傷事故が発生するなど、全国的に転滑落事故が多かったのが特徴だ。

 例年、この時期に多発する気象が原因の遭難は、大きな天気の崩れがなかった影響で少なかったが、前線の通過によって天気が崩れたGW後半に奥穂高岳で連続発生している。5月5日の夜、奥穂高岳の山頂付近で、茨城の山岳会「ACC‐J茨城」の男性3人(40~60代)パーティが悪天候によりルートを誤り、身動きが取れなくなって救助を要請した。翌朝、岐阜県警の山岳警備隊員が現場へ向かって3人を救助したが、2人は低体温症によって命を落とした。そのうちのひとりは、多くの記録的な登攀を実践してきた先鋭的なクライマーだった。