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 ただし、岩本氏の裁量で、側近Xの給与は異常なペースで上積みされていく。2016年7月に月額80万円、2018年1月には月額150万円と、当初の3倍の給与となった。側近Yも最終的に90万円にアップされた(詳細は後述)。

側近Xの給与は当初の3倍にアップされていた

 女子医大の規定では、准教授や正規次長職で月額50万円台なので、側近2人の待遇は破格といえる。しかもこの時期、女子医大は巨額の赤字経営が続き、教職員のボーナスを大幅に引き下げていた。その結果、退職する教職員が相次いでいたのだが、岩本氏は自分の側近に大盤振る舞いをしていたのである。

政治家とのパイプ役を務める側近Yは風呂敷包みを手にして…

 女子医大の教職員に素性を明かさない、謎の2人の存在。調べると意外な事実が分かった。

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 まず、側近Yは1960年代生まれで、オーストラリアの大学を卒業。福祉関連の仕事を経て、北関東の自治体で市議会議員を務めた。2009年には市長選に立候補したが、4人中最下位で落選している。

 翌年、至誠会第二病院に入職して、現在も同院の事務長を兼務している。この側近Yが女子医大でどのような仕事をしていたのか、別の元事務職員Bが証言する。

「彼は政治家とのパイプ役を務めています。風呂敷包みを手にして、どこかに出かける場面を度々目にしました。風呂敷包みの中身と行き先は誰にも明かさないので、学内で様々な憶測が飛び交いましたね。彼と直接話す機会があって、『自分は金融には強いが、あまり病院には詳しくない』と言っていました」

側近Xのパワハラは日常茶飯事で、人前で部下を大声で怒鳴り散らす

 もう1人の側近Xは、岩本氏が経営する産婦人科医院の事務員になって、以来30年以上も仕えているという。部下だった元事務職員Cは、側近Xの強烈なキャラクターに驚いたという。

「彼女は、岩本先生の特別秘書です。洋服の着替えや自宅からの送り迎えまで、いつも影のようにぴったり付いていました。岩本先生は怒るとヤクザみたいな口調になり、みんな萎縮してしまうのですが、側近Xも同じように凄く威圧的でしたね。パワハラは日常茶飯事で、人前で部下を大声で怒鳴り散らしていることもありました。

 強烈だったのが、岩本先生とすれ違って、挨拶をしなかった職員がいた時です。『あの職員を追いかけろ! 名前と部署を控えてこい』と側近Xがいきなり叫んだので、ぞっとしました」

岩本絹子理事長と二階俊博氏(至誠会90周年パーティより)

 岩本氏のスケジュール管理は側近Xが行い、秘密主義が徹底されて、他の職員が知ることはできなかったという。