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「必要経費は“仮払い”を受けるのが一般的ですし、これだけ大きな金額を個人で立替えをするなんて、常識的に考えられません。“お車代”や“心付け”は領収書がないので、本当に適切な使用がなされているのか検証できず“闇”のままです。経理課の人間から『ウチの大学にはコンプライアンスはないのですか!』と怒りをぶつけられました」(元事務職員B)

事務職員のXにもコロナ補助金「60万円」が支給された

 さらに、コロナ補助金でも不可解な点がある。厚生労働省では、令和2年度から新型コロナ患者の入院を受け入れている医療機関に対して、現場で対応する医療従事者の手当について補助金を用意した。女子医大でもこの補助金を財源として、教職員に一律15万円、新型コロナに対応する医師、看護師には15万円を上乗せするとした。

 しかし、厚労省は補助金の対象として「新型コロナ患者等の対応を行わない職員の給与は、対象となりません」とする注意書きを添えていたにもかかわらず、事務職員である側近Xにも「60万円」が支給されていたのである。

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側近Xに支給されたコロナ手当の出金票(写し)

 このように、女子医大の中枢で、側近Xは部長代行という肩書を得て、岩本理事長に次ぐNo.2のポジションを確立したが、それでも彼女の扱いは“非正規”のままだった。その謎を解く鍵は、女子医大との契約に隠されている。

「業務委託」という契約に職員からは疑問の声が

 前述したように、2015年10月から約4年間、側近XとYの2人は至誠会から女子医大の経営統括部に「出向」していた。2人分の給与合計は月額240万円だった。(*金額はすべて税込)

 その後、2020年4月に、岩本氏が長年の大ファンである、元宝塚スターの親族企業・ケネス社の「業務委託」に契約が変更されると、月額385万円になった。実に145万円もアップしたのである。(業務委託契約の場合、2人の報酬額などの内訳は不明)

 この契約変更に対して、職員からは疑問の声が上がっていたという。

「側近2人は出向元の至誠会の職員だと思っていましたが、ケネス社の業務委託に契約が切り替わっても、以前と変わらずに岩本理事長の指示命令を受けて働いていました。2人が本当にケネス社に移籍したのか、それとも業務委託という契約に不正があるのではないか…。職員の間で話題になっていました」(元事務職員A)

岩本理事長の側近2人に関する契約の変遷

 こうしたなか、2022年4月、筆者が週刊文春で「疑惑のカネ」として、岩本氏とケネス社の関係性を報道すると、すぐにケネス社は契約解除を女子医大に申し入れた。