「これまで理事長たちの行動は、公用車(*注1)の運行記録を見ると、いつどこで誰に会ったか、把握できましたが、側近Xが運行記録を取り上げてしまったのです。ある事務職員が『業務に支障が出る』と抗議したところ、すぐに異動させられました。以来、誰も怖くて口出しできなくなったのです」(同前)
*注1:公用車とは、一般的に公務で使用される公的機関の自動車をさすが、女子医大では学校保有の自動車の呼称として使われている。
新校舎に当初の設計図になかった理事長室と側近Xの専用個室が…。追加費用は約4.9億円
暫くすると、側近Xの肩書きは「次長」から「部長代行」に昇格する。そして新校舎の建設や、足立医療センター(附属病院)の移転など、重要な交渉役となった。
女子医大には「建築設計室」という部門があり、一級建築士の資格を持つ正規職員が在籍している。にもかかわらず、なぜか非正規職員で、特別な資格もない側近Xが、大手ゼネコンとの交渉の一切を仕切っていたという。
「大手ゼネコンの幹部でさえ、側近Xには腫れ物に触るように低姿勢でした。足立医療センター(2022年に荒川区から移転)の打ち合わせは、話を聞かれたくなかったのか、必ずVIP用個室がある第1病棟9階に設置された貴賓室でやっていました。そこはカッシーナ(イタリア製の高級家具)で統一されたゴージャスなお部屋で、岩本先生のお気に入りです」(同前)
2020年2月、新校舎の「彌生記念教育棟」が完成する。だが、当初の設計図にはなかった理事長室などを移転するため、約4.9億円(*注2)の追加費用を大手ゼネコンに支払っていたことが内部資料で判明した。移転は岩本氏の強い意向だったという。さらに、“非正規”職員の側近Xの“専用個室”が併設され、理事と同等の広さだったことも内部資料で明らかになった。
*注2:稟議書では移転費用に約6億円の見積が記載されていたが、最終的に約4.9億円を支出
側近Xが“お車代”や“心付け”を個人で立替えたとして支払い請求
絶対的な権力を手にした岩本絹子理事長の庇護を受け、不可解な行動が目立っていたという側近X。彼女を取り巻く“疑惑”の一つが、常識を超えた金額の「立替払い請求」である。
前述の2019年に開かれた岩本氏の就任祝賀会では、招待者のお車代「151万円」、ホテルスタッフ64人分の心付け「34万円」の合計「185万円」を、側近Xが個人で立替えたとして女子医大に請求していた。
さらに、2020年の新校舎竣工式では、来賓のお車代「23万円」、翌年の足立医療センター竣工式でも同じ名目で「40万円」を、同様に個人の立替え分として、側近Xは現金での支払いを請求していた。