――高齢の俳優さんにとっては馴染みが薄そうですが、撮影現場はどんな雰囲気だったんでしょうか?
阿部 セカイ監督からは、とにかく楽しい現場だったと伺っています。第2弾では特に、ヒロインがときめいたときの擬音「とぅんく」と、最後の「ふーん、おもしれー女」というセリフにこだわったそうです。
――「とぅんく」も「ふーん、おもしれー女」も、少女マンガや学園ドラマの“あるある”ですよね。イケメンヒーローが一風変わったヒロインに出会って心動かされるときの定番文句です。
阿部 どちらも視聴者からのツッコミが増えそうな言い回しを意識して演技指導されたそうです。あと、ヒロインが「うるせえ口だな」と頬をつかまれるシーンでは、セカイ監督のイメージするとんがった口の形になかなかならなかったそうで……。なんと9回リテイクしたと。
――完成版を見ると、ヒロイン役の女優さんが見事に“あるある”なタコのような口の形になっていました。マンガだとコミカルなタッチに変わるシーンですよね。ここにも監督のこだわりが詰まっていたとは。
第2弾には、これはバズるだろうなという確信はありましたか?
阿部 いえ、個人的には、第1弾よりも元ネタがわかりやすくなっていたので、ちょっとやりすぎ感があるんじゃないかなーという気持ちも少しありました。それに扱っていただいた題材も、「もも太郎」は当社の代表製品なのに対して、「NIIGATA ICE SELECTION」は新しいセット商品で知名度があるわけでもなかったので。夏ほどは話題にならないだろうけど、同じぐらいまで伸びたらいいね、という程度でしたね。ネットの反響はわからないものですね(笑)。
創業100年超の老舗企業がWebCMをはじめた理由
――第1弾が初のWebCMとのことでしたが、それまではどんな広告を打たれていたんですか?
阿部 そんなに大きな取り組みはしていなくて、せいぜい新潟県内で「もも太郎」のテレビCMを夏の間だけ流していたぐらいです。そのCMも地元の広告代理店さんに作っていただいたもので、ごく一般的な内容でしたね。
――「もも太郎」はもも太郎という名前なのにイチゴ味というユニークなアイスで、新潟県民なら誰でも知っている有名な商品ですよね。
阿部 ルーツは新潟の祭りでよく売られていた氷菓子です。砕いた氷を桃の形をした木型に詰めて、割り箸を刺してシロップをかけて食べていたのですが、その味をいつでもどこでも食べられるようにということで製品化されました。70年以上続く製品ということで、新潟県内では親から子、子から孫へという感じでもも太郎を知っていただけていますね。