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変化球CMでも「ネットだしいいんじゃない?」

――創業100年を超える歴史ある企業でありながら、ある意味ふざけたようなCMを出すことに、懸念や不安の声はなかったですか。

阿部 まったくなかったですね。そもそもWebCMという取り組み自体がまったく初めての試みでしたし、新しいことにチャレンジするならその道に長けた方におまかせした方が良いという考え方です。

――社内の方の反応っていうのはどんな感じでしたか。

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阿部 「ちょっとシュールだけど、インターネット上で流す動画だしいいんじゃないの?」と。さすがに地上波のテレビで放映ということだったら反発があったかとは思いますが、これは駄目だっていう雰囲気はなかったですね。これは話題沸騰だぞっていう期待の声もなかったですが……(笑)。ある意味、インターネットだからできた部分はあると思います。ちょっと失敗してもそれはそれで、みたいな。

 第2弾はさすがに、アイスはどこへ行ったとか、何のCMなんだ、っていう困惑の声はちらほらありましたが、それで止まることも特になく、公開に至りましたね。

セイヒョー本社の敷地内にある直売所

――そのおおらかなチャレンジ精神は、社風としてあるものですか?

阿部 あー、そうかもしれませんね。たとえば本社の外にある商品の直売所も当社らしい取り組みです。2016年が当社の創業100周年で、それに向けた取り組みの一環ということで2015年にオープンさせたんですが、全く下調べもせず(笑)。会議の中で直売所があったらいいよねっていうふわっとした意見がどこからともなく出てきて、その思いつきがそのまま実現したような感じでした。

――日本のいわゆる伝統企業のイメージといい意味でアンマッチな感じがします。

阿部 セカイ監督からも「自由にやらせてもらってありがとうございます」と言われています(笑)。やっぱりクリエイターさんは自分の世界に理想とするものがあると思うので、我々が対外的なイメージを気にして注文をつけていたら、だんだん話題になるようなポイントが削られていって、ここまでのバズりにはならなかったんだろうなと思います。

――第3弾が進んでいるとのことでしたが、そこへのスタンスっていうのはまた変わらずですか。

阿部 はい、次もおまかせです(笑)。リクエストも特にありません。

 

――CM制作への姿勢も驚きですが、今回の“バズり”に対するスタンスもどこか飄々とした空気感を感じます。

阿部 そうですね。実は社内では、話題になって嬉しいとか、やったーという盛り上がりも特にないんです。ここまで話題になるのはすごいねとは言われますけど、それに味をしめてどんどん仕掛けていくというのもまた違うのかなと思ってまして……。

――老舗ならではの余裕を感じます。

阿部 そうなんでしょうか(笑)。ただ、動画がきっかけで知名度はアップしたと思うので、一歩ずつ全国へ出ていければいいなという感じですね。うちのアイスは美味しいので、ぜひたくさんの方に食べてもらいたいですね!