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《高齢者だらけの"学園あるある"》「こだわったのは女優さんのとんがった口」新潟の老舗アイスメーカーがWebCM累計1200万回再生に辿り着いたワケ

《高齢者だらけの"学園あるある"》「こだわったのは女優さんのとんがった口」新潟の老舗アイスメーカーがWebCM累計1200万回再生に辿り着いたワケ

 昨年11月、Twitter上で一本のCMが話題を呼んだ。

「アイス屋さんがCMに本気を出した結果」

 そう題された動画は、制服を着た女性が男性とぶつかって倒れるシーンから始まり、一見するとよくある学園モノのドラマのよう。――しかし、登場人物を演じているのは全員高齢のキャスト陣だ。

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ネット上でザワついた高齢者学園ラブストーリー ©セイヒョー

 動画を投稿したのは、新潟県の老舗アイスメーカー・セイヒョー。代表商品の「もも太郎」は新潟県民であれば誰もが知っている“ソウルフード”でもある。

 今年で創業107年を迎える伝統企業はなぜ“バズる”CMを生み出せたのか。経営企画室の阿部千晶氏に話を聞いた。

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「おじいちゃんとおばあちゃん? しかも学生服?」

――もともと、夏に公開された「もも太郎」のCMがTikTokで100万回再生を記録するなど話題になっていました。あのCMはどなたの発案だったんですか?

阿部 CM制作をお願いしたクリエイターのセカイ監督です。私たちが最初に知ったのは企画書を見せていただいたときですね。“学生服を着たおじいちゃんとおばあちゃんで、学園青春ドラマを再現”と書かれていたんですが、「おじいちゃんとおばあちゃん? しかも学生服?」と頭の中にクエスチョンマークばかり浮かんでいました(笑)。

――文字だけだと想像がつきにくい組み合わせですよね。

阿部 当社が老舗企業であることを表すために高齢の俳優さんを起用するということだったんですが、全くイメージが湧きませんでした。

――映像をご覧になった最初の感想はどうでしたか?

阿部 なんだかすごく綺麗な映像だな、というのが第一印象でしたね。純粋な恋愛ドラマの甘酸っぱいワンシーンのような、爽やかだけどどこかノスタルジックな空気感が夏にぴったりで。文字で見ていたところからのギャップに良い意味で驚かされました。

2022年夏に公開された第1弾のWebCM ©セイヒョー
なかなか終わらない素振りにしびれを切らした女性が帰ろうとすると…… ©セイヒョー
男性に呼び止められ、胸を高鳴らせる ©セイヒョー
結末は“少女漫画あるある”な展開 ©セイヒョー
©セイヒョー

“10日で100万回再生”「バズっている自覚なかった」 

――正直、実際に見るまでは不安もありましたか?

阿部 企画書の段階では“おじいちゃん、おばあちゃん、学生服、青春ドラマ”という言葉の並びがちょっと強烈だったので、もっとヘンテコな動画が出来上がってくるのかな、もしかしたら目も当てられない動画になってしまうんじゃないかという気持ちはありました(笑)。

 でも蓋を開けてみると高齢の役者さんでもすごく雰囲気があって、なるほどと思いました。