盛り上がったインタビューほど、内容がない
西澤 私、前にインタビューした時に、Aマッソって、キャラやギャグという化学肥料を与えられずに、特殊な栽培方法によって育てられたコンビなんだなと思ったのが記憶にあります。
加納 それで言うと、これは私の西澤論なんですけどね。年が10歳ぐらい離れてるじゃないですか。同性で、10個下のやつの話を真摯に聞いてくれる人なんていないんですよ。しかも興味を持って。説教でもなく。業務連絡でもなく。
西澤 業務連絡でもなく(笑)。
加納 すごいうれしいですよ。私が今23の子のインタビューをしたとして、その子の心を開けないと思いますから。
西澤 それは圧倒的に私に経験と実績がないのもでかいと思うんですよね。本当に、インタビューした人のことをすぐ好きになっちゃうんですよ。
加納 (笑)。
西澤 すげえと思って。なんでこんな若いのに、ってすごい思っちゃうんですよね。インタビューも下手だと思ってるし、確固たる自信みたいなものもなくて。だから、一言一言に「はぁ~、ちょっとメモっておこう」って、興味深く聞いちゃいますね。
加納 「この人、心開いてくれてないな」っていうのもやっぱり感じるわけですよね。
西澤 それはあります。でも、それは私の最初の開け方が間違っている場合がほとんどなんですよね。
加納 そうなったら、途中で開けようとするんですか?
西澤 一生懸命開けようとはするんですけど。でも、全然やっぱり答えてくれなくなってくるパターンとかもあるんですよ。そういう時は全然関係ない話をして……でも、それでまた怒っちゃう場合もあるし。
加納 (笑)。
西澤 失敗談なら数知れず。でも、意外と、そういう後悔の多いインタビューのほうが、テキストにしたときに面白いんですよ。むしろ「ああ、楽しいインタビューだったな」と思って家に帰って原稿を作ると、「あれ、あんまり内容がない」ってことが多い。
加納 マジあれ、何ですかね。盛り上がらなかったインタビューのほうが、原稿になるといいっていう、あれ。
西澤 必ずそうですよね。前からよくしている話をしてくれて、「お馴染みのエピソード、待ってました」って感じで盛り上がるからかもしれないんですけど。
加納 ここまでしか出しません、ってインタビューされている側が線を引いているやつですよね。
西澤 それが如実に表れていたのは上沼さんのインタビューかもしれないです。大阪のご自宅まで伺ったんですけど、前半は何度もラジオでおっしゃっていた話で。やっぱり話芸がすごいので聞いちゃうんですけど。