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空港をミサイルで破壊して…「台湾の孔明」が語る中国の侵攻シナリオと実際の可能性

台湾の孔明 #1

2023/02/11
note

中国が台湾に武力行使する時は

――兵糧攻めみたいなものですね。日本列島はかなり範囲が広いですが、台湾は実質的にはひとつの島を中心とした島国ですから、包囲されるとしんどいでしょう。しかし、台湾がそれでも屈することなく、「話し合い」に応じない場合はどうなりますか。

 「話し合い」が物別れに終われば、直接のミサイル攻撃の段階です。まず台湾の空港をミサイルで破壊する。制空権を奪った後に空襲をおこなう。それから上陸がおこなわれます。

――外国人がなんとなくイメージしている「中国の全面侵攻」は、そのくらい先の段階であるわけですね。

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林 ええ。最後の段階として上陸による占領があります。いま台湾では、防衛のための地雷の敷設についても(それに反対する)さまざまな議論もありますね。もっとも、実際は往年のような戦闘の形にはならないでしょう。すなわち、第二次大戦の硫黄島でアメリカ海兵隊がおこなったような、激しい戦いをともなう海からの上陸作戦にはならない。

 中国側は(制空権があるので)ヘリコプターで台湾の主要都市に直接向かい、兵力を直接展開させて占領する形になると考えています。なので台湾は市街戦の対策をするべきだという話が出ていますね。

2023年の春節加強戦備でも、台湾南部の都市に向けた人民解放軍のヘリボーン強襲への対策訓練が公開された。この訓練では赤帽子の兵士が人民解放軍の役。高雄陸軍基地にて。筆者撮影。

――考えたくない光景です。中国は近い将来、こうした大規模な軍事行動を起こす可能性はありますか?

 懸念しすぎる必要はありません。私が考えるに、すくなくとも、おおむね2035年ごろまでは人民解放軍は攻めてこないと思います。その理由は……。(#2に続く)

写真=安田峰俊

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