自らが代表理事を務める障害者支援団体に勤める部下の女性に対し、陰部を触るなどのわいせつ行為を行ったとして、準強制わいせつの疑いで起訴された大阪府高石市の渡辺和美被告(55)。
「女性に興味はない」
エステの経験があるとして、被害女性に施術をしようとしていたという。警戒する女性への“殺し文句”は自分は性同一性障害で心は女性だから、安心していいというものだった。だが逮捕、起訴された現在も渡辺被告は主張を崩しておらず、自身が抱えているとする性同一性障害を理由に無罪を訴えている。
当局は渡辺被告の訴えを虚偽だと見て起訴に踏み切った。その他にも、渡辺被告による性被害の申告が相次いでいるといい、大阪府警は慎重に捜査を行っている最中だ。
文春オンラインも渡辺被告から性加害を受けたという人物に接触した。被告の事務所で働いていた30代の元スタッフの女性A子さんとその夫のBさん。裸に剥かれて、高速道路や畑のど真ん中で一人車から降ろされた――夫婦の怒りの告発で、渡辺被告の異常性が際立ち始めた。(全3回の3回め/#1、#2を読む)
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退職しても、撮られた写真で嫌がらせ
A子さんは2020年6月から渡辺被告が代表理事を務める障害者への相談支援を柱とする事業所「あおい相談室」で働いていた。当時の事務所で常勤として働いていた職員は、A子さんとは別の30代女性のC子さん、50代のD子さんだったという。そしてこのD子さんこそが、渡辺被告の起訴内容の被害者だ。
「この時の常勤職員は3人とも渡辺の被害に遭っています。D子さんは障害者の支援相談のベテランで、別のところで勤務していたD子さんが連れてきた利用者が「あおい相談室」には多くいました。渡辺からどんなにひどい目に遭わされても、責任感の強い彼女は辞めるに辞められなかったんだと思います。C子さんも裸や下着姿の写真を撮影されていました。下着姿で事務所の外のベランダに立たされるなど、多くの被害に遭っていました」(A子さん)
「C子さんは辞める前に私どもの自宅に来て渡辺の性加害を相談していたんです。結局、詳しい事情は分からないまま辞めてしまったのですが、かなり辛かったと思います」(Bさん)
だが、渡辺被告のもとから逃れても、C子さんへの間接的な被害は続いた。