――損はないですか?
矢部 ディーレクタという馬は、購入価格が高すぎたので損しました。ただトータルで600万、700万くらい損してるんですけど、それ以上に得たものが大きいので、損したと思わないですね。馬主をやってて結婚相手も見つかったし、他にも人脈が広がったし。逆にそのお金で得るものの方がいっぱいあるからラッキーみたいな。だから今、お金全然ないです(笑)経営しているYABEKEも13週年ですし、イベントやタレント業でも今年は稼がなきゃなって。でも、それも生きてる感じがするんですよね。
いろいろなことがあった人生ですが、今幸せですか?
――山林堂騎手と結婚されたのは、2022年5月でしたね。
矢部 とても穏やかな人を選んだと思います。最後の最後で、とてもいい人と一緒になれたなって。
――ちなみに、矢部さんのお母さまが、2人の男性と離婚を2回ずつされて、特に2人目のお父さまの暴力、暴言が激しかったと聞いています。矢部さんはお母さまの影響を受けつつ、お母さまと同じようなルートを歩みそうになったことはありますか?
矢部 今までの感じで男性を選んでいたら、そうなってた可能性がありますね。今の夫は全く真逆のタイプなので、だから大丈夫だろうなって思いますけど。今まで付き合ったやんちゃな感じ、危なっかしい感じの男性を選んでいたら、浮気とかされて、辛い思いをいっぱいして、でも好きだからそれでもいいみたいな。それこそ母と同じ道を辿る可能性があったけど、真逆の人を最終的に選びました。
――結婚の最終的な決め手はなんだったのでしょう?
矢部 一緒にいて、こんなに穏やかな気もちになれるんだって。今まで穏やかじゃ無さすぎたんです。癒しというか。でも……、なんだかんだ芸能界にいるし、刺激も好きなんですよ。ただ、ジョッキーだから、そこのバランスもとれるんですよ。大変な馬ばっかり乗ってるし、いつ死ぬかわからない仕事だって、彼もいつも言ってます。それに、外部とも連絡が取れない期間もあるんですよ。
夫は川崎のジョッキーで、1カ月のうち1週間は調整ルームに缶詰で会えないですし、電話もだめ。家にいても、朝というか深夜の1時40分に起きたり、私とは生活のペースもバラバラだったりします。夫婦で一緒に居られるはずなのに、居られない。でもそんな感じも程よく刺激が入っていいみたい。トータルで考えて、ベストな人を選んだと思います。
――紆余曲折を経て、今はとても充実した人生を歩まれていると。
矢部 私、不思議なことに、最後はちゃんとなるんですよ。中学時代は家庭が荒れたし、学校ではイジメもあったけど、それがなければ芸能界に入ってないです。失恋しなかったらYABEKEもやってない。結婚も最後はベストな人と巡り合えました。なんだかんだ、私って運がいい。周りにも恵まれているし、最後はいいところに落ち着いていたと思います。
撮影=山元茂樹/文藝春秋
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