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「トラック界で起業する女性は、ほぼいないと…」運送会社社長(49)が“無理して女性を雇用しない”業界のリアル

門馬千草社長インタビュー #2

2023/04/10
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知らない間に月1000万円の売り上げが…

――えっ、門馬さんおひとりで1000万円ですか?

門馬 楽しいな~と思って電話かけてただけなんですけど、配車係しながら、知らない間に月1000万、売り上げていて。

――社長は万々歳ですよ(笑)。ペーペーかと思ったのに、年間1億2000万も稼いでくれたんですから。

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門馬 私、何でも一生懸命やるのが癖になっていたから(笑)。そこで営業のおもしろさを知って、自分で会社をやってみたいな、と。だけど、いきなり立ち上げるのは怖いし、それで18歳の時にお世話になった運送会社の社長のところに相談に行ったんです。

 

――確か4トントラックに乗せてくれた親がわりの運送会社の社長さんですね?

門馬 そうです。父親ほどの年齢の方で、もう親がわりみたいな人なんですけど、それで約300万円分の仕事を持って、「社内起業のような形で利用運送の仕事をやらせてください」って頼んだんです。通帳を一つ作って、会社の中に1部屋借りて。それが今から12年前だったかな。行政書士さんには、「こんなに実績あるなら、すぐに会社を立ち上げることもできますよ!」って言われたんですけど、全然、自信がなくて。

トラック5台から会社をスタート

――年間1億2000万も売り上げたのに?

門馬 ええ、不安でしたよ。でも、初年度は売り上げを多くしたいと、心配で給料も取らないで貯金だけで1年ほどやっていたんです。あっという間に仕事は入ってきたんですけど、入ったお金は親会社の売り上げになるので、つつましい生活をしていました。ようやく2年目くらいからは自分の給料は出したものの、低く抑えて節約していたので、まわりの人から「もう独立したほうがいいよ」って何度も言われたんですけど(笑)。結局、自信がつくまで6年間、お世話になったんです。

 

――そして、2011年にいよいよ完全に独立されたんですね。

門馬 そうですね。独立にあたって今度は自分のトラックを持とうと。運送会社の許可を持ってないと付き合ってくれないお客さんもいらっしゃったので。

――最初はトラック何台で始められたんですか?

門馬 最初は5台。大型4台と4トン1台です。安い中古を、自分の貯金をはたいて買いました。最初はキャビンも制服のジャケットも黒にしたんですよ。私、昔から黒が大好きなので。