文春オンライン

「トラック界で起業する女性は、ほぼいないと…」運送会社社長(49)が“無理して女性を雇用しない”業界のリアル

門馬千草社長インタビュー #2

2023/04/10
note

彼氏が自分の会社に転職してきたことも

――人生において、トラックが一番というか。

門馬 そうそう。まあ、あとは彼氏がいると、どうしてもいつも一緒に走ろうとか、正直ウザくなるんですよ(笑)。友達と走るなら楽しいのですが。

――相手が助手席に乗っていることがですか?

ADVERTISEMENT

門馬 じゃないです。2台で。

――トラックでドライブ?

門馬 そう。どこか遊びに行くのに「休みの日、トラック2台で行こうぜ」みたいな。長距離ドライバー時代は、遊ぶ暇なんてほぼなく、週に1回、土曜日の夜から日曜日の昼までが休みでした。

車体とロゴカラーは門馬さんこだわりのワインレッド

――半日しか家に帰らずほぼトラックの中で生活していたというのは、やはりハードですね。

門馬 そうです。で、そんな生活なので彼氏とほとんど会わないから、付き合ってから半年後に彼氏も私のいた会社に転職してきちゃったこともありました。同じ会社ですから、仕事が終われば一緒にご飯とか食べに行って、洗車したり磨いたり。仕事もずっと一緒にやっていたら、ある日、「休日まで一緒に走らなくてもいいじゃない」って(笑)。

――それは嫌だったと。 

門馬 嫌ですね。その上、長電話しなくてもいいじゃん! と思っていました。

社長になってから始めたことは?

――本業の合間を縫って女性ドライバーの会を立ち上げるなど、ご自身で活動の幅を広げていますが、社長になってから始めたことはありますか?

門馬 社長になってから自分で始めたことといえば、スリランカの支援です。私の祖父の工場で働いていたスリランカの友人の故郷に遊びに行ったんですよ。ある夜、長い橋を車で渡ろうとしたら、真っ暗で危ないんです。「どうして電灯ないの?」と聞いたら、「電気代が高くて」と。LEDなら電気代は安いけれど、そのLED自体が高いというので、そこの市に寄付してつけてもらいました。最近では、コロナの時に「チグサ、助けてくれ! 食べられない人が大勢いる」というので援助を続けています。

 

――スリランカでもコロナで大変だったんですね。

門馬 ええ、やっぱり、どこの国でも。うちの会社のある群馬県もコロナで大変でした。ほかにも私、デコトラの愛好会「哥麿(うたまろ)会」の活動で、前から前橋にある「鐘の鳴る丘少年の家」っていう児童養護施設でボランティアしていたんですよ。そこでやはり昔、ボランティアしていた人が、今、私が暮らしている大泉町の町長さんになったと聞いて、地元を盛り上げるためにも何か自分も応援したいなと。

――不思議な縁ですね。