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門馬 ええ。それで、たまたま知り合いから、この辺りでイベントをやろうという話が持ち上がったので、「私も協賛金出します!」と。他の運送屋さんも協力してくれて、イベントを開催したんです。

――トラックに関係するイベントですか?

門馬 いいえ、全然。音楽フェスです(笑)。そこの壁にあるサインは、歌手のmisonoさんが来てくれたので、その時のなんだけど。大泉には広い土地がなくて隣の太田市でやったのですが。音楽だけではなく、学生がSDGsの発表会をしたり、ラグビーの「ワイルドナイツ」の方が来てくれたり、民間の救急車を持っている人が子どもたちに見せてあげようって展示してくれたりとか。私もみんなも手弁当で準備して大変でしたけど、地域の人が喜んでくれて。

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――そうしたボランティア精神はどこで学んだんですか?

門馬 やっぱり、「哥麿会」を率いてきた田島会長ですね。あんなにすごい人はいません。人のために生きてる。どこかで災害が起きれば、すぐに「炊き出し行くぞ!」って。もう見習うしかないですよね。

 

――以前、文春オンラインでも田島さんの取材をさせていただきましたが、何度も殺されそうになりながらも命がけで人助けされている姿に驚きました。その精神が門馬さんにも受け継がれているんですね。

門馬 ええ、もう田島会長は哥麿会のメンバー全員の親父であり、災害地域の人たちにとっても親父だと思います。

トラックは私の手足。完全に一心同体です

――なるほど。門馬さんご自身は、今後、やりたいことはありますか?

門馬 今、うちにいる従業員の若い子たちのためにもう一つ会社を作る準備をしています。長年の友人がフリーになったので、名古屋に営業所を作ろうかと。それから、自社の倉庫を持ちたいですね。なかなか営業許可の取れる土地を探すのが難しくてまだ実現できていないんですけど、ドライバーにとって自社の倉庫の荷物は「自分たちの荷物」という誇りが持てるからです。

 

――最後に、門馬さんにとってトラックとは?

門馬 トラックは私の手足。完全に一心同体です。私が右に曲がるって言ったらこの子もちゃんと曲がってくれる。どれだけ細かいものを3000個、バラ積みするような疲れる仕事であっても、それはトラックに乗るための当たり前のものなので苦労ではないんですよ。

――トラックは仕事というより人生そのものなんですね。今は社長職で乗ることは少ないと思いますが。

門馬 「社長はトラックに乗るな!」って言われるんですよ。創業当時からいる、そこのジジ(職員の中島さん)にね。この間も、ちょっと乗ったら楽しいのを思い出して、もうワクワクしちゃって……。数日間、事務所で仕事ができませんでしたね。

撮影=山元茂樹/文藝春秋

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