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 そのギャラ相場は、ドラマ業界では「七五三」と言われていて、ドラマ1本で、チーフにあたる「制作担当」が70万円、セカンドにあたる「制作主任」が50万円、サードにあたる「制作進行」が30万円。さほど悪くない? と思われるかもしれませんが、サスペンスなどの2時間ドラマで1本撮影するのにおよそ2週間かかり、撮影期間には毎日ほぼ24時間まったく休めないので「死んでしまうかも」と思うほど忙しいそうです。

 深夜24時に撮影が終わって、翌朝6時から撮影再開ということも当たり前のドラマの撮影現場で、撤収や準備なども考えればスタッフ誰もが睡眠不足になるほど働いています。それに加えて「みんなが休んでいる時間に翌日の準備をする」というのですから、それはたまりませんよね。午前3時4時に、当たり前のように電話がかかってくるそうです。あまりの大変さに、クランクアップとともに意識を失って気がついたら病院! という人がいたり、心を病んでしまう人も多いようです。

 制作部の人をいつも困らせるのが天気だそうで、雨が降って1日撮影ができないと100万円単位のお金が飛んでいってしまいます。そうならないために許可なしで「ゲリラ撮影」できて、かつ「雨が降っていても、晴れのように見える場所」を探して、アーケードのある商店街をやっと見つけたり、場合によってはビニールシートで屋根を作って、なんとか“晴れの状況”にして撮影を続けなければならないのです。

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 しかも予算削減による合理化で制作部の仕事は増加する一方。かつては「特機部」(特殊機械を扱う人たち)の仕事だったドリー撮影(台車に載せたカメラで移動しながらする撮影)用のカメラのレール敷設や、「イントレ」と呼ばれる、鉄パイプなどを組み立てて作る足場の設置も、予算削減で制作部の仕事に。大道具の仕事やゴミの管理まで次第に制作部の仕事になりつつあるそうで、仕事は増え続けています。

 そんな状態でろくに眠りもせず、ロケバスの運転まで担当することも多いというのですから、とても危険。「制作部は交通事故を起こしてやっと一人前」と言われることもあるそうですが、死亡事故も起きたことがあり、とても深刻な状況です。日本のテレビ制作現場はどこもブラックで、悪条件・低賃金でもがんばるスタッフたちに支えられています。“やりがい搾取”とも言われるこの状況を、真剣に改善するべきときが来ています。