あと、日本のドラマは「続編」がつくられにくい。これも番組編成上の問題やキャスティングの難しさなどが背景にあるといわれています。しかし、欧米でもアジアでも面白いドラマはどんどん「シーズン〇〇」というふうに続いていきます。日本でも『相棒』のように長期間続くシリーズものは人気を博していますよね。
また話をアジアに戻しますと、若者向けには逆に「とても短いドラマ」も流行り始めているといいます。ここ数年、スマホを使ってネットで見るドラマの制作が中国で流行しており、スマホに合わせ映像も縦型、1話の長さはだいたい10分以内だそうです。ティーンエイジャーなど若い人中心に見られていて、ドラマのテンポが昔に比べて速くなっているとのこと。こういうドラマを見ている視聴者にとっては「日本のドラマはテンポが遅すぎて退屈」ということであまり見られなくなっているようです。
たしかに日本でも最近「ドラマや映画を早送りで見る」という若者のことがよく話題になっていますよね。こういう若者たちにとっては、中国で流行し始めているような「スマホ視聴に適した10分くらいの短さのドラマ」がしっくりくるのかもしれません。
ということで、日本のドラマは「長さをどうするか」をいま真剣に考えるべきです。
撮影現場を支える「制作部」の超ブラックな実態
ドラマの専門職として「制作部」という人たちがいます。「部」という字が付いていますが組織ではありません。ほぼすべての人がフリーランスで、「ドラマの撮影が順調に進むためにするべきことは全部する」のがお仕事です。ドラマの撮影現場が成り立っているのは、制作部と呼ばれる人たちが人知れずがんばっているからなのですが、あまりに待遇がブラックなのが問題となっています。
言ってみれば“なんでも屋さん”。「ねえ、トイレどこ?」「ねえ、車どこに停める?」「ねえ、撮影してたら火事になっちゃったんだけどどうしたらいい?」というぜんぜん違う質問に1人で一気に対応しなきゃいけないようなお仕事で、離職率は驚異的に高くて、10人入っても1年後には1人残っているかどうかというのが実態だそうです。
人手が足りなすぎて、「やりたい」と言えば誰でもすぐに入れる世界。育てる余裕もないので、タダ働きしてもらい仕事を覚えてもらっているとか、居酒屋の飲みの席で新人をスカウトすることもあるとか……。そしてなんと、ギャラは60年間一度も上がっていないそうです! 昭和30年代から現在まで、業界で不文律のように決められたギャラの水準がそのまま続いているというから驚きです。