「病院に連れて行った方がいいと思わなかった?」
検察官「2019年9月初めに達也さんは左手を火傷したんですね?」
被告人「でも、保険証がなくて、病院に行かなかった。本人も『行かない』と言っていた。皮がめくれていたけれど、薬を塗ってあげたら、ちょっとはマシになった。だけど、包帯を替える度に痛がっていた」
検察官「足も折れてたでしょ。火傷よりだいぶ前。8月頃ですか。病院に連れて行った方がいいと思わなかった?」
被告人「曲げ伸ばしができなくなったのは、もうちょっと経ってから」
検察官「胃腸風邪になったときは連れて行ったのに、なぜ対応が違うんですか。ケガを隠したかったのでは?」
被告人「隠してるわけないじゃないですか」
検察官「達也さんが病院には行かないと言い張った?」
被告人「……」
検察官「答えがないので次の質問に行きます。親戚のYが達也さんを木刀で殴ったのは、『仕事をしていないから』と言いますが、そんな理由で何で殴る?」
被告人「私のことを思ってしてくれたんじゃないですかね」
「あなたが達也さんに暴力を振るわれているのを見た人はいない」
検察官「複数の証人が『Yは大人しくて暴力を振るう性格じゃない』と言っている。あなたの指示で暴力を振るったんじゃないですか?」
被告人「それはありません」
検察官「Yは達也さんが死亡する直前の2019年9月29日に交通事故死している。その前日にも達也さんと殴り合いのケンカをしているのはなぜ?」
被告人「私との結婚がうまくいかないのが原因だと思う」
検察官「事件の関係者で、あなたが達也さんに暴力を振るわれているのを見た人はいない。何で他の人がいる前では達也さんとケンカにならない?」
被告人「一般的に人の前で夫婦喧嘩はしないと思いますけどね」
検察官「あなたの話がウソなのでは?」
被告人「この場で私がウソをつくことはありません」
小林被告は別の同居男性3人に対しても同じ手口で臓器損傷や脳損傷を負わせた傷害罪にも問われ、地裁は先行して裁判官のみで審理し、今年1月に有罪とした。
検察側は部分判決の有罪分も含めて懲役24年を求刑し、結審した。“稀代の悪女”に対する裁判員裁判の判決は、3月24日に言い渡される。