「あれっ」と気づいたら、何年経っていても謝りに行く
——ライバル。
山田 大久保(佳代子)とかいとうあさこに会うたびに言うんだけど、もういつも暗いのよ(笑)。段階が来ると、俳優さんでも女優さんでもお笑いでも同じで、一個レベルアップする時にはみんな必ず悩むの。お給料が合ってないなとか、思うようにいかないとか、あの人があんなこと言ったとか、おそらく前は平気だったんだよね。その段階じゃなかったから。だから悩むってことはレベルアップしてることなんですよ。
そういう時はシンプルに立ち返って、やりたいのかやりたくないのか自分に聞いてみる。そのシンプルな感じでいいんじゃないかな、っていうふうにはアドバイスしますけどね。それは自分も同じ。
みんなライバルではあるんだけど、上の世代だから分かることあるじゃない。「まだまだそんなもんじゃないよ」って思う。私たち、ほんとめんどくさいんだけど、かっこ悪いことがかっこいいっていう商売だから。難しいから。
——そうやって相談できる山田邦子さんみたいな人がいて、いいなと思いました。
山田 そうね。私、誰に相談してきたんだろうね。当時はすぐ明日になってたなぁ。反省はするけど、後悔はしなかった。「ああ、失敗した」とか、「あんなこと言わなきゃよかったな」とか、反省はするけど、後悔しない。
でも、気が付いた時に、謝りに行きます。たとえ何年たっていても。「今、気が付きました。あの時はすいませんでした」って。
——すごい。
山田 その段階の時は分からないまま過ごしちゃって、自分がいざ段階が上がった時に「ああ、ずいぶんかばってもらってたんだ」とか「すごく親切にしてもらってたんだ」って気が付くんです。それがわかったら謝ればいい。
——謝られた方はちょっとビックリするでしょうね(笑)。
山田 「あ、ああ……」って(笑)。忘れちゃったら忘れちゃったでいいのよ。そんなことはもう、ね。
写真=石川啓次/文藝春秋
写真=石川啓次/文藝春秋