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長女と次女は援助交際を強要され、売上金を巻き上げられていた

 また、岡田さんの兄に何度も電話し、「仕事をしていない達也を食わせている。生活費と離婚のための弁護士費用として150万円払え」「私は達也の子を妊娠している。中絶費用を払え」「払わんのやったら、ヤクザを30人ぐらい連れてそっちに行くぞ」などと脅したとして、小林被告とXは恐喝未遂罪にも問われていたが、これも目撃していたXの交際相手の証言が決め手となった。「一般人を畏怖させるには十分なもの。恐喝未遂罪の共同正犯が成立する」として、同罪の成立を認定した。

 小林被告は1989年以降、結婚と離婚を繰り返し、結果的に3男2女をもうけた。地元記者が小林被告の特殊な家庭環境を説明する。

送検される小林久美子被告(FNNプライムイオンラインより)

「小林被告は、外部の人間ばかり暴行や食事制限をしていたわけじゃないんです。最初は実子の虐待から始まり、それが外部の人間に移っていったような形跡がある。

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 小林被告の長女、次男、次女はいずれも苛烈な暴行や食事制限などの虐待を受けていた。さらに長女と次女は援助交際を強要され、小林被告に売上金を巻き上げられていた。すでに亡くなっている長男は稼いできた金を小林被告に巻き上げられ、精神的に病んで20歳で自殺した。

 次男と次女だけは父親が同じだが、あとはバラバラ。4人とも生まれて間もなく児童養護施設に預けられた。中学を卒業する頃に自宅に引き取り、最初は優しく接しますが、やがて暴行や食事制限で虐待し、ヤクザの話を出して脅すのも同じです。長女と次男と次女は、虐待されていた男性への暴行にも参加させられており、まともに親元で育てられていたのはXだけです」

「トイレで隠れてパンを食べていた」などの些細な理由で殴らせる

 大津地裁が裁判員裁判に先行して審理していた別の同居男性3人に対する傷害事件も激烈なものだった。

 2011年1月から5月にかけて同居していた男性を暴行し、食事制限してガリガリに痩せさせた事件は、男性の苗字を取って「松川事件」と呼ばれている。

「男性は当初、小林被告の長女と付き合っていたそうです。それが仕事を辞めると、扱いがひどくなり、腐った味噌汁をかけたご飯1杯しか与えられなかった。黒色マジックで顔中に落書きされ、丸坊主にされた。

 小林被告が次男ら他の同居人をけしかけ、『トイレで隠れてパンを食べていた』などの些細な理由で殴らせたりしていた。最後は壁を伝って歩くのがやっとの状態で、全身を骨折しており、全治6カ月の重傷だった。それでも被害者は当時、怖がって警察に届け出ることすらしなかった」(大津地裁担当記者)