〈あらすじ〉

 40代の教師チャーリー(ブレンダン・フレイザー)は、恋人を亡くしたショックで過食を繰り返し、重度の肥満症になってしまった。272キロの巨体で、歩行器なしでは室内の移動もままならず、家に引きこもり、オンライン講座で生計を立てている。身の回りの世話をしてくれるのは、親友の看護師リズ(ホン・チャウ)だ。

 鬱血性心不全が悪化し、死期が近いと悟ったチャーリーは、疎遠になっていた娘のエリー(セイディー・シンク)との関係修復を決意。17歳のエリーは家庭や学校に多くのトラブルを抱えて荒れていて、8年前に自分を捨てた父親に憎しみをむき出しにする。

〈解説〉

『マザー!』以来5年ぶりとなるダーレン・アロノフスキー監督作。孤独な中年男性が自身の過去と向き合う5日間を、室内だけで描くヒューマン・ドラマ。第95回アカデミー賞最優秀主演男優賞受賞。117分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆エッ?!と驚く肥満のB・フレイザー。マッサオで悲しげな瞳が強い印象を残す。暴食を芯にしたシリアス映画、初めて観た。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆強迫観念に憑かれた人物の描写は、この監督の得意技。細部はやや甘いが、脆い肉体が魂の平安を導く逆説は眼に残る。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆あの巨体を自分の体のように感じる演出が恐ろしい。思い通りにならない人生のやるせなさを、毒を盛りつつ優しく描く。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★★病んだ魂と肉体から哀切の人間劇が立ち上がる。『レスラー』の変奏とも呼べるこの監督の本領。フレイザーに拍手を!

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆確かにオスカー受賞に相応しいブレンダンの演技だが、傍のホン・チャウも秀抜。過去作『レスラー』の系譜。舞台向き。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
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INFORMATION

『ザ・ホエール』(米)
4月7日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開
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