駅前から延びる大通りを進むと…
信玄公が見守る甲府の町を歩こう。
駅前広場からまっすぐ南に向かっては、平和通りという大通りが延びている。平和通り、この名を持つ通りは日本中にあるのだが、だいたいは戦災復興での都市計画にあたって整備された道であることが多い。戦前にも同じような機能を持つ道があったとしても、空襲で焼け野原になってしまった町が再び立ち上がるときに町の背骨を成す大通りが整備される。甲府駅前の平和通りもそうした歴史を持つ道なのだろう。
そして平和通りの両サイドに、市街地が広がる。平和通りを歩いていていちばん目立つのは、駅近くの飲食店が入るような雑居ビルもそうだが、やはり甲府市役所、山梨県警本部、甲府地方裁判所といった官公庁ゾーンだろう。駅前から歩いて10分足らず、目抜き通り沿いに市役所をはじめとする行政司法機関が集まっている。
さらに官公庁ゾーンの中を分け入っていくと、すぐに商業ゾーンに突入する。岡島百貨店という地場の百貨店を中心に、周囲には商業系の雑居ビルがずらりと並ぶ。ちなみに岡島百貨店、古いビルでの営業は2023年2月に閉店したばかりで、いまはすぐ近くの再開発ビルの中で営業を続けているらしい。
さらに奥へと突き進むと、またまたすぐに町の様相が変わり、今度は歓楽街ゾーンだ。実際には商業ゾーンと歓楽街ゾーンの境目は曖昧で、ビジネスホテルなどがあるのもこのエリア。細い路地にはいわゆるオトナのお店の類いも建ち並んでいる。
すぐ近くに県警本部があるというのに、そして地域を代表するような百貨店があるというのに、その脇の路地を入ればオトナのエリアとは、なかなか奇妙な気がしてしまう。まあ、おかげで治安の心配も要らないし、駅から数分のこの一帯だけであらゆる所用が済んでしまうというコンパクトさは、悪くないと思う。