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 たとえば、中国のネットはTwitterやYouTubeなど海外のウェブサービスの大部分への接続が制限されているが、VPNを使って技術的に接続規制を突破すれば、これらを利用できるようになる。だが、中国人にわざわざVPNの使い方を教えたり、海外のニュースの内容を教えたりする行為は、できるだけ避けたほうがいいだろう。

 2019年には、現体制にとって都合が悪い内容の特定のサイトを閲覧しただけの、未成年者を含む中国人が大量に逮捕された事例がある(悪俗ウィキ事件)。VPNの使い方を中国人に教えることで、あなたがそうした事態に巻き込まれる可能性は否定できない。

抗議活動の拡散、社会活動家との接触……

 そして、以下はもっと危険な行動だ。

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【危険度B:中国人の政治行動や言論を支援・扇動する】

・私的刊行物を発行する。

・当局の認可を受けない形で中国人を組織する。

・抗議運動の現場に行く、情報を発信する。

・ウイグル人や社会活動家、「邪教」や地下教会の信者と接触する。

 まず、私的な刊行物の発行やサークルの結成は、同人活動のような非政治的なものでもリスクが高い。なかでもフェミニストやLGBT当事者のサークルは、たとえ反体制的な主張をおこなっていなくても、当局から強く警戒されている。いわんや、自分が住んでいるマンションの住民や留学先の大学のクラスメイトなどで集まって社会問題への抗議行動を組織したり、それに参加したりするのはさらにダメだ。

 2022年末のゼロコロナ政策抗議デモ「白紙運動」のような、集団での抗議行動が発生したときに、現場に様子を見に行ったり撮影したり、その様子を(微信の個人間の送信も含めて)他人とシェアするのもやめたほうがいい。Twitterなど海外のサイトであっても、自分が撮影した画像や動画のアップロードは控えよう。

 ウイグル人や社会活動家など、当局から間違いなくマークされている人物と話し込んだり、相手の家に行ったりするのも避けたい。「ウイグル人」という民族全体から距離を置くのはいい気分がしないが、中国の治安機関の現場の人員の差別意識もあって、ウイグル人はたとえ本人が体制内エリートであったとしても強い監視対象となっている。同様に、法輪功や全能神など中国政府の基準で「邪教」とされる新宗教や、当局非公認の地下教会の信者との接触も危険だ。