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祖父85歳の「よかれと思った節税対策」のせいで、孫が大借金を背負うことに…「不動産相続」が生んだ“悲劇”とは

祖父85歳の「よかれと思った節税対策」のせいで、孫が大借金を背負うことに…「不動産相続」が生んだ“悲劇”とは

『負動産地獄 その相続は重荷です』#5

2023/05/01

source : 文春新書

genre : ライフ, 社会, ライフスタイル

note

 ようやく会議が開催されるのは親が亡くなった後の遺産分割協議です。この段になると、子供だけでなく子供の配偶者までが参戦して、収拾がつかなくなります。

 表面上は仲良さそうにしていても、相続となって目の前にお金が登場すると、人は本能を剥き出しにします。こうした修羅場を迎える前、つまり相続が発生する前に、親と子の間で相続について取り決めをしておくことが大事です。

 最近は親が長生きになっていますが、そのぶん認知症などを患ってしまうと、話し合いはできなくなってしまいます。なるべく早い段階で親子会議を開催することが必要です。

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 まず、呼びかけるのはもちろん親です。子から提案すれば、ほかの兄弟姉妹から財産目当てだなどと疑われます。時期は全員が集まりやすい盆や暮れ、ゴールデンウィークなどがよいでしょう。会議には子の配偶者は入れません。全く違う角度からの争いが勃発する可能性が高いからです。

※写真はイメージです ©iStock.com

親が生前にやるべきこと

 親は事前に自身の財産について、すべて棚卸をして簡単な目録を作成、特に賃貸資産などがある場合は契約の内容、賃料条件などを記載しておくとよいです。

 最近はデジタル通貨のような、ネット上での取引も多くなっています。ゴルフ会員権なども意外と家族はその存在に気づいていないものです。

 借金がある場合は、マイナス資産となりますので、借金がどの資産と結びついているのか、またその資産、例えば不動産がどれだけの価値があるのかを伝えておくとよいでしょう。借金は相続開始後3か月が経過すると相続放棄できなくなりますので、早めにその存在をあきらかにしておくことです。