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「リーマン時代の宴会芸はトップシークレット」ジョージアからやってきた「世界一愛される駐日大使」“天才Twitterユーザー”ティムラズ・レジャバ閣下のすべて《独占インタビュー》

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キッコーマンに就職、一発芸に全力投球したサラリーマン時代

――お勤め先はキッコーマンだったとか。日本を代表する伝統のある会社はいかがでしたか。

レジャバ 日本企業は目先の成果よりも古い付き合いを大切にしたり、社内の空気を読むことが大切だったりすると思うのですが、それに自分の感覚を合わせるのにずいぶん苦労しました。すぐに辞めたいと思ったんですが、先輩や同僚から「3年は勤めないと」と説得されて、なんとか働き続けました。日本企業らしい物の考え方も、今では大切だと分かるのですが。

©️文藝春秋/細田忠

――サラリーマン時代に印象に残っていることはありますか。

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レジャバ 宴会や社員旅行で若手社員が一発芸を披露する機会があるんですが、そういう場では全力投球しました。

――今の時代、いちばんダメだとされていることでは……。

レジャバ そうかもしれませんね。スマホに当時の写真が残ってないかな……。ああ、ありました。ご覧になります?

――全力で取り組んでらっしゃったのがわかります(笑)。

レジャバ さすがに文春オンラインの読者さんにはお見せできませんね。トップシークレットにしておきましょう(笑)。春闘で社員が集まった時にも若手社員が出し物を披露するという決まりがあったのですが、そこでは“ベースアップ”とかけて野球のホームベースを持ち上げる寸劇を披露したことがあります。仕事ではすぐに評価されなくても、こういった場でみんなを笑わせると、それはそれで評価されることが分かったんです。だから自信を持てることをやろうと全力で寸劇や一発芸に取り組んでいましたね。

――面白いことをしてウケるのはお好きだったんですね。

退職後は母国ジョージアへ…やがて外務省から声をかけられて

レジャバ とはいえ、会社員生活は3年3か月で辞めました。上司にスライディング土下座をやってまで希望していた海外営業部に配属してもらったのですが、やっぱり日本の企業文化になじめなかったのが辛かったんです。再就職先の当てもなかったので、母国ジョージアに戻り、貿易に携わったり、起業したりしていたらジョージア外務省から声がかかったんです。

©️文藝春秋/細田忠

――2019年に臨時代理大使に就任され、2021年から大使に任命されました。ジョージアから日本はどのように見られているのでしょうか。

レジャバ 実は、ジョージア人の行きたい国を調べると、日本が1位になるんです。日本はしっかりと昔ながらの生活スタイルや文化を残しながら、技術的には発達している。そこにジョージアの人は魅力を感じるようです。ジョージア人がそのように感じるのは、なにを美しいと思うか、なにを大事にするべきなのかという点において日本に親近感を覚えているからではないかと思います。