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 したがって買うべきなのは、「個人向け国債 変動10年」という変動金利型国債です。物価が上昇するようになると多くの場合、多少の時間的ズレはあったとしても金利も上昇します。したがって、この「個人向け国債 変動10年」であれば、将来物価上昇、金利上昇が起こったとしてもある程度対応はできます。

 本当は「物価連動国債」が一番よいのですが、残念ながらこちらは個人が小口で買うことができません。「個人向け国債 変動10年」であれば、最低1万円から1万円単位で購入が可能です。金利は年0.05%ですから低いですが、元本は保証されていますし、1年経てば解約も自由ですから、リスクを取らずに(ということは儲けることをあきらめて)資産を守るのであれば、これが実質上一番よいと思います。

リスクが取れるのならこれも悪くない

 一方、多少なりともリスクを取れる人、あるいはリスクを取れる一定額までのお金がある人であれば、国際分散投資ができる投資信託を毎月一定額で積み立てながら購入していくのがよいでしょう。

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 投資で悩ましいのは「何を買えばよいか」そして「それをいつ買えばよいか」ということです。でも投資が職業や趣味という人であればともかく、ごく普通の人がこれらを調べるために時間を費やすということはなかなか難しいでしょう。それに、時間をかけたからといって必ずうまくいくという保証はありません。それならこの二つを考えなければいいのです。

 つまり、何を買えばいいかわからないなら、世界中の株式市場に投資をする国際分散投資型の投資信託を買う。いつ買えばいいかタイミングがわからないのであれば、タイミングを考える必要はありません。それを毎月定期的に積み立てで買えばいいのです。

 このやり方が一番よいかどうかはわかりませんが、少なくとも自分で投資対象とタイミングをあれこれ考えて気を揉みながらやるよりは安定した収益は得られそうです。

 

 たとえば上の図をご覧ください。これは過去30年にわたって毎月1万円ずつを積み立てながら、国際分散投資のできる投資信託を購入し続けていればどうなったかの図です。30年間では3.54倍、2012年からの6年間でも1.42倍になっています。これは2018年9月末までの積立投資の結果なので、現時点(2020年11月)ではさらに増えているでしょう。

 いずれも大儲けではありませんが、少なくともこの間の物価上昇をはるかに上回る結果になっています。やはりそれなりに一定の効果はありそうですから、資産の一部をこうした国際分散投資に振り向けるのも決して悪くはないと思います。私も2012年に退職して以降、ずっと積み立てで国際分散投資を続けています。

 このように、定年後の投資は儲からなくてもいいのです。焦ってリスクを取り過ぎるようなことは避けるべきでしょう。平均寿命を考えた場合、定年後も20~30年の人生があることを思うと、ゆったりと積み立てしながら投資をするだけで十分だろうと思います。(#2に続く