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わいせつ目的「デートレイプドラッグ」を検出 警視庁が開発した“新兵器”の威力とは?

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 わいせつ目的で相手の意識を混濁させるために飲ませる薬物「デートレイプドラッグ」。その使用を検出できる検査キットが警視庁捜査一課によって開発された。4月25日までに島部を除く都内全97署に配布を完了したという。

「警視庁が民間企業と共同して開発した検査キットは、スポイトで尿をキットに垂らして数分待つだけで、睡眠薬などを飲んだ可能性があるかどうかを判定できます」(警視庁担当記者)

桜田門の警視庁 ©時事通信社

 当局によれば、睡眠薬を使った性犯罪の摘発件数は10年前(2012年)の17件から、昨年は60件と3倍以上に増えている。

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「会食中、女性がトイレに立ったすきに酒の中に睡眠薬などを混ぜるのが典型で、最近では経済産業省のキャリア官僚による連続わいせつ事件で使用されて話題を集めました」(同前)

 これまでも鑑定機材は警察に備えられていたが、捜査関係者は「結果が出るまで1カ月かかることもあり、使いにくい面があった」と明かす。今回のキットはあくまで簡易のものだが、

「酒で意識が飛んだのか、睡眠薬を飲まされたのか確証がないままでは被害届も出しにくい。初動が大事なのに捜査が進められないジレンマがあり、その解消が期待される」(同前)

 この“新兵器”の名称は「D1D plus」。試験段階に比べて検出できる薬の種類が増えたため「plus」が付いたが、「D1D」にも理由があるという。