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堀知事が木戸浦市長を説得

――新八雲駅が市街地と離れていて「牧場の中にある駅」として話題になりました。

吉川 八雲駅と新八雲駅は3kmちょっと離れています。あそこには自衛隊の基地があって、八雲駅を通るルートだと基地を横切らなくちゃいけない。新函館北斗駅から海側へ抜けようとすると、大沼国定公園があって、その下にトンネルを掘って大沼の水を涸らしたら大変です。さらに海側には森地熱発電所があって地質が悪い。大沼の西側のルートを取ると、もう八雲駅には絶対に入れないと説明したら、八雲町も「仕方ないですね」と納得してくれました。

――函館駅は、当時の市長が現駅案を譲らなかったそうですね。

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吉川 当時の木戸浦隆一市長が「公団は本当に新幹線が札幌に行くと思ってるのか」と。実は当時、東北新幹線は盛岡止まり。八戸まで来てないんです。青森までの工事も認可されていませんから。

――そんな状態で札幌なんて夢みたいな話でしょうね。

吉川 「いま八戸で、次に青森までは来るかもしれない。青森まで来れば青函トンネルがあって、もしかすると函館まで入ってくるかもしれないけど、札幌はありえないんだから。函館でどん詰まりに決まってるんだから」と言って、なかなか話を聞いていただけなかった。

――でも、札幌への最短ルートを取れば向かうとすれば新函館北斗駅の位置がいい。

吉川 それで、堀知事に説得してくださいって頼みに行ったんです。堀さんが、じゃあ言ってくるよって行ったら、あっさりといいよって話になった。何があったかは分かりませんが、知事に感謝です。

鉄建公団OBの吉川氏

新幹線函館支線を思いつく

――結局、関係者のほとんどが「新幹線なんか来ない」と思ってたわけですね。

吉川 こっちは新幹線を作る気ですから。でもね、納得ずくとは言え、もうちょっとなんとかならないのかなって思いまして。だって当時の渡島大野駅でしょう。函館駅から約18kmもある。函館駅と函館空港の道のりが約8kmだから、それに比べたら2倍以上遠い。

 そのときに、新幹線は函館本線の左側に並行する部分があると思って、それなら三線軌条にしてそのまま在来線に入れるんじゃないかなと。その時のJRの函館支社長に話したところ、「技術的には可能ですね」というところで終わってしまいました。