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 関わった支援者を主人公にしたのが「Dearにっぽん HOME もうひとつの“家族”」(2022年6月22日放送、以下「Dearにっぽん」)。同じNHK名古屋が制作して全国放送した。さらに民放の名古屋テレビが制作して東海圏でのみ放送された「メーテレドキュメント 入管に光を~面会報告2~」(2022年5月26日放送、以下「入管に光を」)もウィシュマさんが死に至った日々が描かれていた。

 3つの番組からウィシュマさんの日本での生活をふり返ってみよう。

NHK「事件の涙」が提起した2つの疑問

 ウィシュマさんはどんな人で来日後に誰と関わり、何をしていたのだろうか。なぜ入管施設に収容されることになったのか。

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 国に対して賠償を求める裁判を起こし、入管法改正に反対を訴えている2人の妹が姉に対して抱いていた疑問があったという。

ウィシュマさんの2人の妹たち(NHK総合「事件の涙 姉ウィシュマをたどって 名古屋入管 収容女性の死から2年」より)

(1)なぜ不法滞在になったのか、(2)なぜ祖国に帰らなかったのか、という2点だ。

 ウィシュマさんは死亡する4年前の2017年頃まで家族とも連絡をとっていた。それが突然、音信不通になる。一体何があったのだろうか。

 そこには彼女が熱心な仏教の信者だったという事情が浮かび上がる。

中絶の罪悪感とDVから家族と音信不通に

 スリランカは国民の7割が仏教徒だ。

「事件の涙」で2人の妹は、姉がSNSに残した写真の撮影場所を訪ねている。2018年正月に投稿された茨城県牛久市にある牛久大仏。その前に立って記念写真を撮っていたウィシュマさん。幼い頃からスリランカでも寺院によく通ったという。

 なじみの寺院の僧侶は「信仰心があつく仏の教えを熱心に勉強していた」と子ども時代をふり帰る。「とても優しい子でいろんな人と仲良くでき、困っている人にはよく手をさしのべていた」と評判は良い。

 25歳の時、理髪店を営み一家の生計を支えていた父親が病死した。それ以降は長女として家族を支え、2人の妹たちの将来の面倒をみたいと日本で語学を学ぶ決意を固めていた。「将来は故郷に語学学校を開きたい」というのが目標だったという。ところが、来日して2017年7月から日本語学校に入学して半年もすると、欠席が目立ち始め、2018年6月には除籍処分になってしまう。

 一連の経緯は、名古屋テレビ「入管に光を」が詳しく報じている。

 2018年4月、ウィシュマさんは交際相手のスリランカ人男性と静岡県内で生活。工場での仕事を転々として所在不明となったことから在留資格を失う。男性との子どもを妊娠したが、薬を飲まされて中絶。2020年8月、男性からDVを受けて警察に助けを求める。交番で不法滞在が発覚。逮捕され名古屋入管に身柄が移されたのだ。

 不法滞在とされた外国人は、原則として入管に収容される。その後、審査が行われ、入管の裁量で国外に退去させるか、在留を認めるかが決まる。

 ウィシュマさんに下されたのは「退去強制」、いわゆる強制送還処分だった。