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 続いて、「365日鍛錬を休まないジモンはどうやって女性とデートするのか?」という素朴な疑問を今も独身のジモンにぶつけてみると、

「俺の彼女になるには、トレーニングに付き合えることが条件だね。早朝マラソンでは、1ヶ月に200km走ることになるからさぁ。それに併走するわけだから、普通の女性は続かない。ヤワな女じゃ、俺の妻はつとまらない!」

 と断言。

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 女性客が『いいとも!』の客以上の一糸乱れぬユニゾンで「そうですね!」と心の中で斉唱したのは言うまでもない。

 ちなみに、日常生活では徒歩を含めて全ての体の動きがトレーニングの一環であり、常に体重移動やバランスを意識して、段差や階段でも移動はあえて体を斜めに傾けて歩くようにしているとのこと。

「俺は足の裏で地球を捕らえている。足の裏はいつも磨いているから」

 その言葉に、ボクが思わず「これだけ足の裏にこだわる人は、福永法源以来ですよ!」とツッコんだ。

 また、歩き方だけでその人の強さを判断できるらしく、「相手の戦闘能力が瞬時に分かる『ドラゴンボール』のスカウターってあるけど、オレも分かる! 歩き方や椅子に座っている姿勢だけで相手の実力を判断できるんだよ」と断言した。

 そして、ライブの終盤、最も真偽が気になっている足技の検証に入った。

©杉山拓也/文藝春秋

 前述のとおり、ジモンは9歳まで「コウモリのように足の指だけで鉄棒にぶら下がることができた!」と言い張るのだが、それだけは、さすがに鵜呑みにできない。

「オイオイオイ! これもホントの話なんだよぉ! じゃあ見せようか?」

 そう言うと、ジモンはいきなりソックスを脱ぎ始め、足をカメラの前に投げ出した。 

「ウォォォォーーーーーー!!!」

 つま先のアップがスクリーンに大きく映し出されると、客席が重低音のどよめきに包まれた。

 それは、指がジャンケンで言うところのグーの状態、まさに「拳を握る足」だったのだ。

「えーーーッ!? 足の指って、こんなに曲がります?」

 我々も予想外の展開に素っ頓狂な声を上げた。

「曲がるだけじゃないの。俺、足の指を自由自在に動かせたんだよ。手の指みたいに。昔は手を一切使わないで足だけでプラモデルを作れたんだから! これホントだよ!」

「まさか! 足でプラモデルを!?」

「でも、完璧には作り上げられなかった!」

「そりゃそうでしょ!」

「足でデカール(シール)を貼るのは、さすがに無理だった……」

「その工程かよ!!!」

 ジモンは最後に蛇足なオチを貼り付けた。