文春オンライン
「“300人乱交写真集”制作に数千万円注ぎ込むなんて、アンタ狂ってる!」…鬼才・大橋仁(50)は、ナゼ自腹を切ってまで作り続けるのか?

「“300人乱交写真集”制作に数千万円注ぎ込むなんて、アンタ狂ってる!」…鬼才・大橋仁(50)は、ナゼ自腹を切ってまで作り続けるのか?

2023/08/03
note

「はたから見たらバカみたいに見えるかもしれませんけど……」

「はたから見たらバカみたいかもしれないですけど、僕は自分の作品においては、ただ本当にやりたいことをしようと決めているだけなんです。どんな作品もそうですけど、それがその人の本気でやりたいことじゃないんだったら、やる必要あるの? と思ってしまう。今回の『はじめて あった』にしても、ここ10年くらいの自分が見てしまったもの、追いかけたくなったことを、できる限り正直に撮り、編集して出来上がった本です。

『目のまえのつづき』より

 全編これ肉のぶつかり合いだった『そこにすわろうとおもう』のようなぱっと見の過激さはないかもしれません。しかし、どんな愛も、感情も、関係も断ち切ってしまう厳然たる時間という存在の中に浮かぶ、自分を含む我々の命の姿、命のいる場所、命の行動を、生体解剖するように客観視したとき、あらゆる感情が表面的な世界の話ではなく、むしろ自分の中から溢れ出し爆発するかもしれません。そういった意味では『そこにすわろうとおもう』とは別の次元で、激しくプリズムのような多面的な部分のある本になったと思っています。

 今作での自分の性癖の暴露も、ただ世間様に言いふらしたいということではなく、命の形を客観視する上では、外せない重要な部分になってしまったので、自分のできるかぎり正直に正確に表現しただけなんです。

ADVERTISEMENT

 おのれの羞恥心とかエゴとか経済的な損失は忘れて、母の死や自分の性癖や生命の循環といった、自分にとって真に切実なものに向き合った結果、その先に現れたのが『命の記憶』に繋がっていく写真であり、『はじめて あった』という写真集なんです。今作には『命の記憶』という静寂の激流が流れています。この激流は、どんな人の中にも流れています。見返せば見返すほどその流れがはっきり見えてくるという、不思議な本です。

『命の記憶』は、一つの宇宙です。まるで読者各々が自分の命を眺めるような、自分が自分に帰っていくような。その流れの中で一体あなたには何が見えてくるのか。宇宙を体験してもらいたいです。あなたの中の静寂の激流に、怖がらずに飛び込んでほしい。まず、あなたから」

INFORMATION

⚫︎第四写真集『はじめて あった』(青幻舎刊)はこちらのショップからご購入頂けます。
http://jinohashi.theshop.jp/

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。

「“300人乱交写真集”制作に数千万円注ぎ込むなんて、アンタ狂ってる!」…鬼才・大橋仁(50)は、ナゼ自腹を切ってまで作り続けるのか?

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー